「今日から俺は!!」は週刊少年サンデーで1990年代に連載されていたヤンキー漫画です。
ある日突然ツッパリ(今は不良のことをツッパリとすら言わないですが)になった二人の主人公三橋貴志と伊藤真司の友情の物語です。
二人はいつも衝突していて、性格も正反対。
絶対に合わない二人、絶対に口に出して相手に伝えることはないけど本当は一番信頼し合っています。
ドラマ化不可能とされていた作品
本作品は、2018年に賀来賢人、伊藤健太郎主演でテレビドラマ化されました。

©日本テレビ
週刊少年サンデーに掲載されていたのは、1988年から1997年まで。
もう20年以上前の漫画ですが、なぜこれを2018年にドラマ化したのでしょうか。
累計発行部数4000万部越えの大ヒット漫画ですが、映像化すると絶対にコケると言われていました。
「今日から俺は」は、ギャグ要素満載の内容なので、実写化すると、全然おもしろくないと思われていました。
過去に1度、1994年に東映のVシネマとして映像化されました。
Vシネマということで、ツッパリ部分を大きく押し出して、ケンカのカッコよさを売りにした映像でしたが残念ながら全く話題になることなく消えていきました。
そんなタブーのジャンルをドラマ化して大成功した最大の要因が、監督福田雄一です。
福田雄一監督ドラマの常識を壊すことで、漫画のコメディ部分を表現する手法を取り入れました。
- 役者が演技中に笑ってしまってもそのまま使う
- アドリブのセリフで無茶苦茶な笑いを入れる(佐藤二朗のしゃべくりや、賀来賢人の変なダンスなど)
- セリフを噛んでもそのまま使う
福田雄一監督は、このほかにもコメディ要素の強い漫画を実写化して大ヒットを飛ばしています。
- 銀魂
- 斉木楠雄のΨ難
- 聖☆お兄さん
- スーパーサラリーマン左江内氏
- ニーチェ先生
あらすじ
主人公の三橋貴志と伊藤真司は千葉県の軟葉高等学校というケンカ弱小校に同じ日に転校してきました。
二人は普通の学生でしたが転校を機にツッパリになると決意し、三橋は金髪に染め、伊藤は頭をツンツンに固め登校します。

©西森博之/小学館
しかし新参者のツッパリを元々ツッパっていた人たちは簡単に受け入れるはずもなくトラブルが巻き起こります。

©西森博之/小学館
最初は2人はお互い分かり合えず別々に不良たちに立ち向かっていきましたが、ピンチを二人の息の合ったコンビネーションで乗り越えていきます。
性格が悪くどんな卑怯な手を使ってでも勝つという三橋と、正義感が強くどんな相手でも真っ直ぐに勝負する伊藤の、全然合わない二人が一つになった時、最強のコンビになります。

©西森博之/小学館
ツッパリ漫画って何だ!?
そもそもツッパリと不良は何が違うのでしょうか?
不良というのが、自身の満足のため、社会から逸脱した行動を取る人たちで、ツッパリが、信念に従って生きる結果ケンカなど社会から逸脱する人、というニュアンスで、ツッパリの方がかっこいい言葉として使われている気がします。
1990年代当時はツッパリ漫画というのはよくありました。
- 湘南爆走族
- BE-BOP-HIGHSCHOOL
- ろくでなしBLUES
- BAD BOYS
他の王道ツッパリ漫画では、基本的にケンカの強い人が1人いて、その仲間たちとの友情を描くことが多いです。
しかし、この漫画では、ケンカがめちゃくちゃ強くて全く性格が合わない2人が出会うとどうなるのか、というコンセプトで話が進んでいきます。
西森博之の描く、コメディシーンとシリアスシーンの絵の使い分けが同じキャラクターとは思えなくて、面白いです。
コメディ漫画なのに熱い名言が心に響く
「テメーなんかに言われたかねー!!」「テメーにアイツの何がわかんだよ!!」
普段は、お人好しで、すぐ人にだまされる伊藤をバカにする三橋ですが、敵に伊藤がバカにされたときには本気で怒ります。
三橋は普段はこういうセリフを絶対に言いません。
相棒をバカにされて本気で怒った三橋、二人の信頼関係が見える最高に格好いい場面です。
残念ながら、この回は、ドラマ化はされませんでした。
続編があるならぜひドラマ化してほしいストーリーです。
「今日から俺は」の名脇役No.1は誰?
この漫画の名脇役といえば、
- 赤坂理子(あかさかりこ)
- 早川京子(はやかわきょうこ)
- 片桐智司(かたぎりさとし)
- 今井勝俊(いまいかつとし)
- 谷川安夫(たにがわやすお)
など、たくさん登場しますが、個人的には中野誠(なかのまこと)が一番です。

©西森博之/小学館
残念ながら、ドラマでは登場しませんが、とにかく、ケンカが強いです。
ナイフを素手で受け止めたり、前転しながら、かかと落としを決めたり三橋・伊藤と肩を並べるの強さと運動神経を持つ男です。

©西森博之/小学館
漫画の中盤で三橋・伊藤のライバルとして登場しますが、後半では今井勝俊が通う紅羽高校(べにばねこうこう)に編入して、漫画の重要人物として活躍することになります。
特に開久高校へ突入するストーリーでは大活躍です。

©西森博之/小学館
中野だけのオリジナルストーリーもあり、読者からの人気も高かったのでしょう。
中野の格好良さは、ぜひ原作を読んで味わってもらいたいです。
この漫画のポイント
この漫画の一番のテーマは、やっぱり「友情」でしょう。
大切なことは言葉じゃなく、お互いに何も言わなくても分かり合えるようなたった一人の友達だということを教えてくれます。
慣れ合う必要はない。表面で分かり合えなくてもいい。でも、本当に困ったときに認め合えるたった一人。
そういう友情の大切さを教えてくれる作品です。

©西森博之/小学館
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