「サバへの愛を語り3685万円を集めた話」は、サバ専門店「SABAR」を経営している右田 孝宜(みぎた たかのぶ)によるクラウドファンディングでの成功体験を語った話です。
クラウドファンディングで「SABAR」の開店資金を集めた話がそのままタイトルとなっています。
そもそもクラウドファンディングとは
始めて日本にクラウドファンディングを行えるサイトが立ち上がったのが2011年です。
クラウドファンディングとは
インターネット上で自分の活動や夢を発信することで、共感した人や応援したいと思ってくれる人を募り、お金を集める仕組みです。
出典:クラウドファンディングサイト Ready for
お笑い芸人キングコングの西野亮廣さんが、2015年に絵本「えんとつ町のプペル」を制作する際にクラウドファンディングで資金調達したことで、日本中にクラウドファンディングという言葉が知られることとなりました。
結果的に「えんとつ町のプペル」は38万部という大ヒットを記録し、クラウドファンディングによる資金調達に人々の関心が集まりました。
クラウドファンディングは、今や日本でも当たり前に行われる時代になってきましたが、当時はまだまだ不透明な資金調達方法でした。
クラウドファンディングの成功例もたくさん出てきていますが、有名人がプロジェクトを成功させるための資金集め、というイメージが強いです。
SABARは、ビジネスとしてクラウドファンディングで大成功した先駆けになるような素晴らしい事例だったといえます。
クラウドファンディングでお金を集めるのはどれほど難しいか
「えんとつ町のプペル」では、クラウドファンディングで制作費として1000万円、個展開催費として4600万円を調達しました。
右田孝宣が集めた3685万円という金額は、この西野亮廣の調達額と比べても遜色のない金額なのです。
しかし、西野亮廣のような有名人のクラウドファンディングプロジェクトはモンスター級。
そもそも、クラウドファンディングサイトで資金調達のプロジェクトを立ち上げても、お金が集まりプロジェクトが成功するのは3割程度と言われています。
なぜ、知名度もない右田孝宣さんが、3685万円もの大金を集めることが出来たのか、「サバへの愛を語り3685万円を集めた話」を読めば、その理由が分かります。
なぜ、クラウドファンディングで3685万円を集められたか
この本は、右田孝宣がどのように事業を成功へ導いていったかが分かる経営書のような読み物となっております。
クラウドファンディングでお金を集めるテクニック的なことが書かれているわけではありませんのでご注意ください。
本を読んで驚いたのは、右田孝宣自身がクラウドファンディングに詳しかったわけでもなく、ITが得意だったわけでもないことです。
ただ一つ、サバへの愛情が尋常ではなかったこと、これが右田孝宣の成功の最大の理由です。
サバをモチーフにしたバイク、「サバイク」で走り回ったり、サバのキャラクターを作ったり、音楽を作ったり。
メディアに喜ばれそうな話題を次々に作って、サバへの愛をアピールしていきます。
時には、人に笑われることもあったでしょう。でも大切なのは、プライドなんか捨てて、好きなものを好きと言い続けられること。
なんだか、この人を応援したいという気持ちにさせられます。
そういう、熱い気持ちがクラウドファンディングで支援者を集める重要なファクターなのでしょう。
一人の熱い人間のドラマとしても、読んでほしい
右田孝宣は、「サバへの愛を語り3685万円を集めた話」の中で、ご自身の、あまりめぐまれていたとはいえない経歴を包み隠さず書き、事業がうまくいっていないときの様子も細かく書かれており、とてもドラマのある内容となっています。
特に、百貨店に出店するために、それまで行っていたスーパーでの出店を全て捨てて賭けに出る様子は右田孝宣さんの熱い思いと、それを受け止める百貨店の担当者の熱い思いが重なり、感動的なストーリーです。
クラウドファンディングと言うと、嘘くさくて嫌悪感を抱き、その段階で本書を手に取らない人もいると思います。
しかし本書は一人の人間の熱いストーリーとして読んでいて清々しい気持ちになりますので、ぜひ、クラウドファンディングに興味のない方も手に取って読んでみるといいと思います。
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