「イーロンマスクの世紀」は、現代をときめく天才経営者イーロン・マスクが行った事業の足跡を描いた書籍です。
著者の兼松雄一郎は、日本経済新聞社の記者であり、2013年から2018年までシリコンバレー支局特派員をしていたため、イーロン・マスクの経営するテスラモーターズを近くで見ていました。
イーロン・マスク自身はまだ自伝を書いていませんので、イーロンが重ねてきた功績をまとめた本書は、現代の怪物がどのように成長してきたのかを知る重要な文献となっています。
そもそもイーロン・マスクとは
イーロン・マスクは、南アフリカで生まれた南アフリカ人の父とカナダ人の母を持つハーフです。
幼い頃からプログラミングの優れた技術を持っていたイーロン・マスクは、アメリカのペンシルベニア大学を卒業します。
そして、電子決済サービスpaypalを作り上げます。今でこそ日本でも電子決済サービスがたくさん作られていますが、当時2001年にpaypalが作り上げたシステムは世界に類を見ない画期的なものでした。
イーロン・マスクは、paypal社を売却し、その資金の全てを使ってスペースX、テスラモーターズという2つの会社に投資を行いました。
既に大金持ちになっていたのに、ロケット開発の会社と電気自動車開発の会社に全財産を投げうったのです。
当然世間からは、彼は頭がおかしい、そんなものが成功するはずがないと叩かれました。
しかし、スペースXは初めて民間ロケットの打ち上げに成功し、NASAから仕事を受注するほどに成長します。
テスラモーターズが開発したモデルSは、それまでの電気自動車のカッコ悪いデザインのイメージをくつがえすスーパースポーツカーで、高級な仕様にもかかわらず飛ぶように売れました。
本書のポイント
執筆は、テスラモーターズの第三代目の電気自動車「モデル3」が販売された頃に記載されたものであり、必ずしも会社が爆発的な成長を遂げてる時期ではありません。
むしろ会社が思ったような利益を出せず、イーロン自身がマスコミや株主から経営方針について叩かれていた時期です。
イーロンを手放しで誉めるだけではなく、批判されている部分も記載し、より客観的な文章になるよう気を使って執筆している所が非常に信頼ができる部分です。
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