「アカギ」とは、竹書房の近代麻雀という雑誌で1992年~2018年に連載されていた麻雀漫画です。
週刊ヤングマガジンで連載中の「賭博黙示録カイジ」という漫画で有名な、福本伸行先生の作品です。
©福本伸行/講談社
福本先生のキャラクターはみんな、髪はツンツン、鼻は高く、アゴがとんがっているので、絵が苦手で読んでいない人もいるかもしれません。
しかし、うまいのか下手なのか分からない作画を補ってあまりある、すごすぎるストーリーの作り込みが福本先生の真骨頂です。
「アカギ」も、「カイジ」同様に福本ワールドに引き込まれること間違いなしの作品です。
「賭博黙示録カイジ」では、限定ジャンケン、17歩、ポーカーなど色々な福本先生の創作ゲームが登場しますが、「アカギ 闇に降り立った天才」は、麻雀1本の漫画です。物語最後の鷲巣麻雀は、少し特殊な麻雀ですが。
アカギの原作「天」
元々は、「天 -天和通りの快男児ー」 という漫画に登場する赤木しげるという男の物語の若い頃の話をスピンオフで書いたものです。
©福本伸行/竹書房
先に「天 -天和通りの快男児ー」 を読んでいなくても、アカギは楽しく読むことが出来ますが、アカギの本当のカッコよさを知るためには、「天 -天和通りの快男児ー」を読んでおくことをおすすめします。
序盤のあらすじ
始まりは、アカギこと、主人公の赤木しげるが中学生の頃の話です。
極道の竜崎と賭け麻雀をしていた南郷が、赤木しげるに代打ちを頼んだところ、高額のレートにも全く恐怖心を抱かず、逆転勝ちしてしまいます。
赤木しげるの強さの秘訣は、死を恐れない人間の感覚を超越したところです。
その感覚が赤木に「天運」をもたらしているのです。
赤木の対戦相手は、赤木との対局中に恐怖心や猜疑心などで心を乱して、冷静な判断やツキを失って負けていきます。
その後、赤木は3年間姿をくらましますが、また賭場へ現れて、裏麻雀の世界で、浦部や、市川という強者をいつものように淡々と倒していきます。
まあ、そのあたりの対戦相手との麻雀も細かい心理描写で、とても面白いのですが、「アカギ」においては、その後に行われる伝説の鷲巣麻雀(わしずまーじゃん)に比べればおまけみたいなものです。
漫画界の伝説 鷲巣麻雀の長すぎる連載
現代の王と称される鷲巣巌は、戦後日本においてたった一人で大金持ちに昇り詰めた男で、最強の運を持つ男です。
この鷲巣巌と行う麻雀、通称鷲巣麻雀は、普通の麻雀とは少し違います。
麻雀牌の同じ絵柄4つの内、3つがガラスで出来ていて、相手に丸見えです。
通常の卓に牌を積む形ではツモ牌が丸見えになってしまうので、卓の真ん中に空いた穴の中に牌を入れておき、そこからツモってきます。
盲牌できないようにみんな手袋をつけてツモります。
赤木の死を恐れない超人的な感覚VS鷲巣の強運の戦いとなります。
この、鷲巣麻雀は漫画内では、たった一晩の話ですが、現実世界の連載では20年以上という、脅威の長さで描かれています。心理描写は細部に渡り、なんだか禅問答のようなところまで行きついてます。
2013年頃に、一度鷲巣巌が死んで、いよいよ完結のときを迎えた、と誰もが思った瞬間がありました。
しかし、地獄に落ちた鷲巣巌は、地獄の鬼たちをどんどん倒して従えていきます。
地獄編だけで1年以上連載があるというとんでもない暴挙でした。
なんと、最後には鷲巣巌が地上に戻ってきて、またアカギとの対決が再開してしまいます。
これほどまでに完結を待ち望まれた漫画もめずらしいのではないでしょうか。
実際に、鷲巣麻雀の部分だけで言えば、「時間の進みが現実と比べて遅すぎる漫画」日本一だと水曜日のダウンタウンで言ってました。
それくらい、福本先生が魂を込めて、人間の感情を書き上げた作品です。
熱い魂の麻雀漫画、ぜひ最後まで読んでいただきたいです。
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