「ボクの妻と結婚してください。」は、ただただ家族のことが愛しくて仕方ない、だけど自分は病気でもうすぐ死んでしまう、という状況になったときに、妻の再婚相手を自ら探す、という不思議なドラマです。
死のせまった人間のバカバカしくも、あたたかい生き様がつまったドラマです。
原作者は「学校へ行こう」の放送作家
原作は樋口卓治が執筆し、2015年2月 講談社文庫より発売された同名の文庫です。
©樋口卓治/講談社文庫
樋口卓治は元々、「さんまのSUPERからくりTV」や「学校へ行こう」などの有名TV番組で活躍した放送作家です。現在でもたくさんの人気番組を抱えています。
「ボクの妻と結婚してください。」は、2016年に織田裕二主演で映画化もされています。
©2016映画「ボクの妻と結婚してください。」製作委員会
本作品は、NHK・BSプレミアムで2015年に放送されたものです。
全6回と非常に短い内容ですが、しっかりとストーリーが詰め込まれており、とても心温まるストーリーです。
あらすじ(ネタばれあり)
第一話「幸せな男」
テレビ日東の営業マンである三村修治(内村光良)は、人を笑わせることが大好きで、子供の頃から夢だったバラエティー番組のディレクターとして働いてきましたが、最近、営業部へ異動となってしまいました。
それでも一生懸命働いてきた修治ですが、会社の健康診断で引っ掛かり、医師・斎藤光信(小泉孝太郎)の診断を受けた結果、すい臓がんで、余命6か月の宣告を受けます。
彼は、本人の死のことよりも、残される妻・彩子(木村多江)と息子・陽一郎(伊澤柾樹)のことをかわいそうだと考えます。
修治は、妻と子が、自分が死んだ後も笑顔でいられるようにと、ある作戦を思いつきます。
それは、彩子と彩子の妹・香取冴子(宮澤美保)との会話に出てきた、彩子の初恋の相手・沖秀樹(吉田栄作)と、妻・彩子を結婚させることでした。
そのことを、沖秀樹に相談しに行きます。
自宅内で観客の笑い声をあえて入れて、アメリカのホームドラマ風に仕上げ、コメディ要素を強く押し出しています。
内村光良が演じる平凡な男の演技が光ります。妻を再婚させるなんて、突拍子もない思いつきですが、内村光良の演技により、平凡な男のバカな発想として笑って受け入れられます。
第二話「妻の恋」
妻と沖秀樹の再婚作戦を沖秀樹に伝えたところ、まさかの快諾。
彩子は、沖秀樹にとっても特別な人だったのです。
修治は妻に余命のことを内緒のまま、再婚計画をスタートさせます。
偶然を装って妻と沖秀樹を再会させたところ、好感触。妻はとてもうれしそうです。
しかし、妻は修治の態度に不審を抱きます。
計画がばれるのを防ぐため、修治は同僚の立木(筧利夫)に頼んで、妻の誕生日にサプライズパーティーを行います。
最後の誕生日パーティーです。
サプライズパーティーでは、なつかしの芸人たちがたくさん出てきます。
第三話「大逆転?」
修治の妻再婚計画は、もう一段階進展し、沖秀樹が妻・彩子をデートに誘うこととなった。
しかし、あっさり撃沈。沖秀樹は、彩子に怒られてします。
計画がとん挫し、やけになった修治は泥酔して街を徘徊していた。そして、号泣しているところを立木に見つかってします。
朝になり、自宅で目を覚ました修治は、家族たちと立木が仲良く朝ごはんを食べている光景を目にする。どうやら、立木が修治を家まで送ってくれたようです。
立木と彩子が楽しそうに会話する様子を見た修治は、妻再婚計画の第二弾を思いつきます。
それは、立木と彩子を再婚させることでした。
第四話「最後の家族旅行」
修治は、立木に自身の余命のことを告げ、彩子と結婚してほしいと頼みます。
立木もどうやら、彩子のことを好きなようだが、あまり乗り気ではない様子です。
修治は主治医に今後どうやって、妻再婚計画を進めるかを相談します。
看護師・川口葉子(酒井若菜)は、修治が妻に嫌われることが必要だと言います。
修治たち家族は温泉旅行に出かけることとなります。
家族旅行の夜に泣いている修治を見て、彩子は不安になります。
旅行から帰った、修治は立木に呼ばれます。
立木は悩んだ結果、彩子と結婚することを了承します。
妻再婚計画がうまくいくように、修治は妻に嫌われることを決心します。
修治は、川口葉子とデートをしている姿を彩子に見せます。
しかし、妻をだますことに耐えられなくなった修治は、妻のところへ走って戻ります。
しかし、そこで見たのは立木と彩子が修治の計画とは関係ないところで会っていたところです。
修治は、再婚計画がうまくいっている事に安心して、その場を去ります。
第五話「バレちゃった」
デートを見られたはずなのに、翌日何のリアクションもない妻に、修治はがっかりします。
たまたま、病院に行った彩子は、修治とデートしていたのが、病院の看護師であったことに気付き、こっそり尾行します。
医師と看護師の「三村さん大丈夫ですかね」という言葉を聞き、彩子は医師と看護師を呼び止めます。
帰宅後、修治を問い詰める、彩子。医者からは何も聞きだせなかった彩子だが、修治の口から、余命3か月のことを聞きます。
看護師とのデートは修治が仕組んだことを知った彩子は、修治の再婚計画に勘付き、家を飛び出します。
修治がよく食べていたうどん屋さんに行き、泣きながら「50年分」うどんを注文する彩子。
落ち着きを取り戻した彩子は、修治と二人で主治医に話を聞き、修治を仕事に送り出します。
そして、彩子は、沖、立木のところへ行き、修治の再婚計画の話を聞きます。
沖、立木の口から出た言葉は、修治の妻への愛はすごいってことでした。
そして衝撃の言葉、妻の口から出た言葉「立木さんと、結婚を前提にお付き合いをすることにした。」。
それを聞いて修治は喜びます。
第六話「ハッピーエンド」
立木と妻の再婚を円滑に進めるため、息子の部屋に説明に行く修治。
父がもうすぐ死ぬことがつらくて仕方なく壁に向かい泣く息子を、やさしく後ろから抱きしめます。
そして、息子にバカなお願いをします。
隠れて聞いていた彩子の「さすが、三村修治の息子。」という言葉。
会社に病気であることを告げ、退職する日、社長から聞かれた「会社人生は楽しかったか?」との問いに、「最高に楽しかったです。」と答える修治。
最後のシーンは、病院を退院し、修治が自宅療養をしているところです。
立木が作った新しいバラエティ番組の映像を修治と、立木と、彩子と息子で観ています。
修治が最後に「バカだなぁ」といい、修治の顔は映らずに、家族の悲しそうな顔だけが映っています。あたたかい、修治らしい死の瞬間です。
最後は、修治の葬儀のシーンです。
野外でみんなを集めて、バルーンを飛ばすという、なんとも修治らしい葬儀です。
「世界中のみなさまへ、僕の妻をよろしくお願いします。」
最後は、立木と陽一郎が公園でキャッチボールをしているところを楽しそうに彩子が写真を撮っています。
もしかしたら、この終わり方に納得いかない人がいるかもしれませんが、私は、平凡な修治らしい幸せなハッピーエンドだな、と思いました。
このドラマを観て感じてほしいもの
もし、自分の余命があと6か月しかないと突然宣告されたときに、残りの自分の人生の全てを、自分が死んだ後の妻のために捧げられるでしょうか。
もし、自分の余命があと6か月しかないと知ったときに、自分の仕事人生に全く悔いはないと言えるでしょうか。
このドラマは「目の前にある死」を通して、「本当の幸せとは何か?」を教えてくれている気がします。
明日自分が死ぬとしても、後悔しない今日を生きる。
一瞬一瞬を大切に生きたいものです。
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