乾貴士が出場したサッカー選手権2006年大会 最後のロッカールームのDVD

第85回 最後のロッカールーム スポーツDVD
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「第85回大会最後のロッカールーム」のDVDは、元日本代表の乾貴士選手が、野洲高校の3年生のときに出場した全国選手権大会の各校の敗戦後のロッカールームを撮影したものです。

47試合中15試合がPK戦での決着という、過去10年で最多の大会でした。

それだけ、実力が拮抗したチーム同士の戦いだけあって、様々なドラマや涙がありました。

暁星高校

暁星高校は、第一試合で優勝候補筆頭の滝川第二高校とあたり0対2で敗北しました。

全員が人目をはばからず泣く中、林監督の最後の言葉は次のものでした。

「これが最後じゃなくこれが最初。」
「今日はこの扉が開くまでは大いに泣け。そのかわりこの部屋を出ていったときは、次の目標だ。」

鳴門高校

鳴門高校は、羽黒高校との1回戦、点の取り合いとなり2対2、時間内で決着は付きませんでした。

勝負の行方はPK戦にもつれこみます。

両校合わせ17人連続成功、18人目の鳴門高校のキッカーは1年生の石川選手。

グラウンダーで蹴ったボールは無常にもゴールの右側に流れていきます。

涙があふれ、先輩に支えられながらピッチを後にする石川選手。

ロッカールームでも涙があふれ、立ち上がれない石川選手に、3年生たちが次々とかける言葉。

「お前には次がある。次がある。ガンバレ。ガンバレ。」

そんな、心優しい3年生たちに監督がかけた言葉。

「今日から教師じゃない、友達な。」

都立久留米

都立久留米高校は、統廃合により学校がなくなる最後の年でした。

チームには3年生しかいません。

1回戦で、岡山の強豪作陽高校に惜しくも1対2で敗れました。

監督最後の言葉。

「後輩もいない中で、毎日毎日グラウンド整備して。誰にもマネできないよ。その3年間の努力に胸を張れ。」

尚志高校

第二回戦で尚志高校があたったのは、過去に練習試合で8対0の大敗を喫した八千代高校でした。

先制は、尚志高校

しかし、後半34分に追いつかれ、PK戦となりました。

尚志高校キャプテン桑名のシュートは左ポストを直撃し、外れ、敗退しました。

監督の最後の言葉。

「俺は本当に幸せ。8-0で負けてた八千代にここまでやれるのは、お前らの努力なくしてできなかった。胸張って帰ろう。何の後悔もない。めちゃくちゃ幸せ。」

涙と笑顔があふれる、すばらしいロッカールームでした。

羽黒高校

2回戦に進出した羽黒高校に立ちはだかるのは、名門青森山田高校

2対0で敗れました。

監督の言葉

「帰ろう。」

言葉少なく、ただただ選手たちを抱きしめました。

滝川第二高校

滝川第二高校黒田和生監督は、来年ヴィッセル神戸の育成部長に就任するため、最後の高校サッカーでした。

選手との間に壁はなく、いつも選手と一緒でした。

選手全員と交換日誌をしていました。

選手に混ざって泥だらけになりながらミニゲームをしました。

2回戦の相手は古豪武南高校

全日本チャンピオンの滝川第二高校がまさかの1対3で敗れるという波乱。

「ありがとう。幸せでした。」

監督が誰より泣いていました。

一条高校

3年生が7人しかいない一条高校

強豪作陽高校に0対4で敗れました。

ロッカールームでの前田監督の最後の言葉。

「このチームは、失敗の中で這い上がってきたチーム。3年生は今日でサッカーが終わるだけの話。こっからや、這い上がれ。神様が、武南はここで負けても、選手たちはこのあと立ち上がってくれるだろうと、決めたのかもしれない。」

優しくて、あたたかい名将の言葉でした。

武南高校

強豪滝川第二高校を破り、旋風を巻き起こした武南高校

続くは、盛岡商業高校との一戦。

80分では勝負がつかず、PK戦へ。

惜しくも2-4で敗れました。

大山監督の言葉

「悔しいときは泣けばいい。一生懸命やってきたんだもんな。こうやって、みんなで一つの悔しさに泣くことはもうないよ。だから泣けばいい。」

堺高校

堺高校の3回戦は広島皆実高校との対戦でした。

両者無得点でPK戦へ。

2-3で敗れました。

監督の言葉

「一番いいゲームしてくれて俺は満足している。今日が一番たくましかった。今回お前らは0失点で帰れるんだぞ。胸張って帰ろう。」

青森山田高校

名門青森山田高校の3回戦の相手は静岡学園高校

前年の選手権と同じロスタイムでまさかの失点。

0対1で、ピッチを去ることとなりました。

「サッカーの怖さを知ったな。わかんねえな。この中で手を抜いた奴はいない。それで結果が出なかったらしょうがない。そんな簡単じゃない。それがサッカーだよ。今日はいっぱい泣いていいよ。でも明日からどうやって生きていくか。どうやって取り組んでいくか。もっと頑張れ、まだ18年間しか生きてないんだ。」

監督も、選手と一緒になって泣きました。

桐光学園

かつての黄金期は、中村俊輔を擁し、選手権大会で準優勝を誇る名門校の桐光学園ですが、今回のメンバーは、スター選手もおらず、過去最弱と呼ばれていました。

しかし、その雑音を振り払うように快進撃を続けてきた彼らが、3回戦であたったのは神村学園

惜しくも1対2で涙をのみます。

監督の言葉

「4月の状態はなんだ、思い出せ。過去最弱。どういう風にして君たちが勝ち上がってきたのか。その経験は君たちの人生で必ず役に立つ。ただ、負けは負けだ。これから先、サッカー以外でも勝負はある。強くなれ。」

野洲高校

U-21日本代表に選ばれる逸材、乾貴士を擁する前年王者の野洲高校

3回戦で当たったのは八千代高校

まさかの、1対4で敗れました。

監督の言葉

「去年の重荷を背負ってきたお前たちは、大変な1年だった。
よく頑張った。野洲のプライドを持って、次のステージで世界を目指してほしい。」

丸岡高校

ベスト8が出そろい、あと1勝すれば国立競技場となる試合。丸岡高校八千代高校に1対2で敗れます。

監督の言葉

「自分たちを信じてきたことが何よりも大きい。
サッカーは今日で終わりだけど、今日のゲームのように最後まであきらめない気持ちをこれから生かしてほしい。」

星稜学園

選手権過去17回出場の名門校星稜学園

初出場で唯一勝ち残っていた神村学園の勢いに押され、0対2で敗れました。

監督の言葉

「今は悔しがればいい。そのぶん成長できるのだから。」

 

神村学園

ベスト4が出そろい、いよいよ国立競技場での対決となります。

神村学園の相手は、強豪作陽高校

大雨が降り、ピッチのコンディションは最悪でした。

滑る芝に翻弄され、0対1で敗れました。

監督の言葉。

「国立で負けるっていいぞ。色んな人たちが応援してくれた。感謝しよう。ここまで来れたこと、周りに感謝しよう。」

泣きじゃくる選手一人ひとりに握手をしてまわりました。

八千代高校

準決勝の第二試合は八千代高校盛岡商業高校

ピッチに大きな水たまりができ、蹴ったボールが全て止まってしまうようなコンディションの悪さでした。

盛岡商業高校の蹴ったコーナーキックを、キーパーがパンチングで弾きましたが、雨で滑り、そのままゴールへ無情にも吸い込まれました。

これが決勝点となってしまいました。

監督の言葉

「みんなと出会えてよかった。あと2日、みんなとサッカーしたかった。でもこれがサッカーだから。去年は県大会で終わった。国立競技場っていいよな。適当なことをやっている人間にこういう思いはできない。たくさんの子供たちに夢を与えられる大人になれ。」

千羽鶴を持って、勝った盛岡商業のロッカールームを訪れ、必ず勝ってくださいと激励する選手たち。

作陽高校

決勝戦、作陽高校盛岡商業高校です。

2対1で盛岡商業高校の優勝です。

負けた作陽高校の監督がロッカールームで話します。

「優勝するチームは1校しかないけど、2位になるチームも1校しかない。変えられる事実は未来しかない。」

 

盛岡商業高校

盛岡商業高校は、全国4080校ある中で、唯一笑えるチームでした。

優勝校のロッカールームでは、誰もが検討を支え合い、清々しいほどの笑顔にあふれています。

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