劇団☆新感線のイメージを壊す新たな挑戦・舞台「蜉蝣峠」の感想

蜉蝣峠 演劇
©劇団☆新感線

蜉蝣峠(かげろうとうげ)」は、いのうえ歌舞伎の新境地として2009年に公開された舞台です。

劇団☆新感線の主宰である劇作家いのうえひでのりが作る神話や史実をモチーフにした時代活劇が「いのうえ歌舞伎」です。

「いのうえ歌舞伎・壊PUNK」と銘打たれた作品だけあって、これまでのいのうえ歌舞伎のイメージをぶっ壊した舞台です。

これまでの、「髑髏城の7人」や「五右衛門ロック」とは違い、ストーリーはかなり暗いものです。

蜉蝣峠DVDのスペシャル版に収録されている、いのうえひでのり宮藤官九郎の対談で語っているのですが、昭和時代に観た救いようのない日活映画のような、任侠映画のような内容に仕上げたかったそうです。

蜉蝣峠最大のポイント コント場面

これまでのいのうえ歌舞伎のイメージを壊すために、あえて冒頭にコントシーンを入れています。

堤真一が軍鶏(しゃも)の格好をして、それを腹をすかせた村人たちが追いかけるというコントなのですが、本編とつながりはなく、ストーリー上は全く必要のないものです。

堤真一が、サングラスをかけて、鳥の着ぐるみを着て、関西弁でしゃべるので、誰が演じているのかすら分からなかった観客も多いと思います。

そして、繰り返される勝地涼の「石だ石だ、石をぶつけろ~!」がじわじわ面白くなってきます。

これをあえて舞台の冒頭に放り込むという暴挙。

今までのいのうえ歌舞伎では、劇の途中でストーリーを壊さない程度にコントが挟まれていたのですが、今回は大胆なストーリー変更です。

このコントシーンには賛否両論あると思います。

殺陣シーン

今回も、劇団☆新感線の真骨頂である、殺陣シーン(彼らは活劇と呼んでいる)がとてもかっこいいです。

任侠の話なので刀での斬り合いシーンがメインです。堤真一が演じる天晴(あっぱれ)が人を斬りまくるシーンは、迫力があります。

古田新太さん演じる闇太郎(やみたろう)は、敵の刀に対し、なぜかゲタで戦うという独特なスタイルです。

ゲタを両手に付けて、敵の刀を白刃どりし、ゲタで相手を殴り倒す様子が、なぜかかっこいいです。

いのうえひでのり氏もインタビューで語っていますが、ゲタであれだけかっこいい殺陣シーンができるのは、古田新太しかいないと思います。

今回の闇太郎は、記憶喪失な主人公なので、セリフが少なく古田新太は喜んだそうですが、殺陣シーンのゲタでの戦いの大変さにはとても苦労したそうです。

 

個人的には、これまでのいのうえ歌舞伎をパワーアップさせたように感じました。

安定感のある迫力の演技は今までのままで、面白さをもっと増やした作品、ぜひご覧になってください。

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