「奥様お尻をどうぞ」は、2011年7月~11月に公演されていたケラリーノ・サンドロヴィッチ作・演出による演劇です。
主な出演者
- 古田新太
- 大倉孝二
- 平岩紙
- 八島智人
- 犬山イヌコ
- 入江雅人
- 八十田勇一
- 山西惇
- 山路和弘
この内、古田新太、犬山イヌコ、大倉孝二、八十田勇一、入江雅人、山西惇は、2007年に公開された前作「犯さん哉(おかさんかな)」からのメンバーです。
「犯さん哉」は、とにかくストーリーが無茶苦茶で一貫性がなく、傑作とも問題作とも言われていました。
前作とは違ったコンセプトの作品を作ろうと意気込んだはずが、結果前作を超えるドタバタ劇に仕上がったとのことです。
「犯さん哉」が好きな方は今回の「奥様お尻をどうぞ」も絶対好きだと思います。
原発反対がコンセプト
この作品が公演されたのは、2011年7月です。
東日本大震災から半年後のことです。
福島の原子力発電所の事故を受けて、作品を作っております。
原発をコメディにするという、非常に危うい挑戦ですが、私はこの挑戦が非常にうまくいった作品に仕上がっているという印象です。
原子力絶対安全協会という組織の人たちの話からストーリーが始まります。
直接原発に反対するようなセリフはなく、暗に皮肉を込めたセリフで観客を楽しませます。
原発事故以来、反原発の映像や音楽は数多く作られ、少しそれらの作品を観たり聴いたりするのに疲れた人も少なからずいると思います。
でも、そういった方でも自然と受け入れられるような、見事な演出になっています。
むしろ、原発なんかどうでもよくなってしまうほど、無茶苦茶なストーリーです。
ケラリーノ・サンドロヴィッチとは
ケラリーノ・サンドロヴィッチは、芸名で、生粋の日本人です。
劇団ナイロン100℃を主催されている劇作家です。
ナイロン100℃は、演劇好きな方ならご存知でしょうが、あまり演劇を観ない方にはなじみがないかもしれません。
オダギリジョーと麻生久美子主演の有名なテレビドラマ「時効警察」の脚本を手掛けたのがケラリーノ・サンドロヴィッチです。
とんでもないストーリー(ネタばれあり)
この演劇は、とにかくアドリブっぽいセリフがかなり多いです。
実際に演者さんたちも、その場の雰囲気に合わせてしゃべっている感じです。
特に、古田新太さんが、観客席に降りて行って、変な動きをして、出演者全員がそれをマネする、というくだりがあるのですが、古田さんの動きがおかしくて、みんな段々と付いていけなくなります。古田さん自身もみんなが困っている様子を見て爆笑しています。
観客席の女性に勝手にアテレコして「あ~なんでこんな舞台観に来ちゃったのかしら。」というくだりも最高です。
個人的には、菅直人元首相を意識したキャラクターがギリギリのブラックジョークになっていてとても好きです。
前半でストーリーが四方八方に散らかりすぎて、途中からストーリーがまさかのダイジェスト版になるのですが、ダイジェストになってからの怒涛のボケ連発は、とんでもなく長いコントを観ているようで腹を抱えて笑いました。
演劇作品として観るのではなく、超長時間のコントを観ていると思って肩の力を抜いてこの作品を観ると、楽しめること間違いなしです。
笑える舞台を紹介します
今回紹介した「奥様はお尻をどうぞ」以外で、笑えるポイントの多い舞台をいくつか紹介して記事に書きましたので、よろしければご覧ください。
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