飲食店の経営に悩んだら読んでおきたい「飲食店は外販で稼ごう」

飲食店は外販で稼ごう 投資・金融・会社経営
©大瀧政喜/同文舘出版

飲食店は外販で稼ごう」は、小さな飲食店の経営に苦労していた著者が、「ベジドレ」というオリジナルのドレッシングを開発し、大儲けした話です。

小さな飲食店を経営する人が、どうすれば大手外食チェーン店に負けずにお店を経営していけるかを書いた本です。

 

著者:大瀧政喜とは何者か?

著者の大瀧正喜は、父の仕事の関係によりフィリピンで生まれ、ロンドン育ちました。

幼い頃からヨーロッパじゅうのレストランに行ったため、料理に深い興味を持ちます。

食品企画・開発プロデューサーとして、様々な店舗の設計にかかわります。

そんな、凄腕の経歴を持つ筆者が、平成22年に小さな飲食店を経営することになります。

プロのコンサルタントが実際に経営してみるとどうなるのか、どのようなことを考え、どんな結果になるのか、を描いた作品です。

ドキュメンタリー要素もありますが、どちらかというとハウツー本です。

なかなかうまくいかない営業

55歳にして飲食店を経営することとなった著者は、駅から歩いて10分くらいはかかる住宅街に店舗を構えることとなりました。

飲食店を営業するには非常に不利な場所で小さな店舗を経営することとなった著者は、平均睡眠時間3時間という過酷な労働で、やっと黒字になるくらいのギリギリの営業を行っていました。

 

そんな状況を打開するため、大手チェーン店ではマネできない、独自の料理を開発することを考えました。

大手メーカーは安定供給のために大量に流通されている食材を使って料理を作る必要があります。

しかし、小さな個人経営の店舗であれば、全国規模の流通には乗らない独自の素材を見つけ出して料理に利用することができます。

ここに目を付けた著者は、知人の紹介、ネット検索して問い合わせる、マルシェや展示会に足を運ぶ等の方法で、独自のルートで生産者を探していきます。

そして、素材の成分だけではなく、生産方法を生産者に問い合わせ、完璧に安全な食材を使うように心がけました。

そして、新しいメニューを開発する上で大事なのは、メニューの量を増やしすぎないことだそうです。

同じ料理を作り続けることで蓄積されていく情報や経験が、他にはないオリジナルの料理を作る上で大切だと著者は言います。

 

ベジドレの開発

店舗で料理を提供するだけでは、お店を休まなければならない日は収入がゼロとなってしまいます。

また、天候やその他の条件に客足が影響されやすく、収入が安定しません。

そこで著者は、外販に乗り出すことを決めます。

オリジナルドレッシングの開発に着手します。

こちらの商品も素材に徹底的にこだわり、食品添加物無添加、合成着色料不使用、化学調味料不使用であることに加え、原材料の野菜の半分以上を有機栽培や自然栽培で作られたものにしました。

さらに、インパクトを大事にするためパステルカラーのドレッシングにしました。

 

飲食店経営に必要な許可等

この本では、飲食店経営者のために必要な各種の許可申請についても詳しく記載しています。

単純に飲食店内で販売するだけでなく、店の外や通販で販売するとなると、料理の種類により「そう菜製造業」「菓子製造業」「清涼飲料水製造業」「調味料等製造業」などの営業許可が必要となります。

キッチンカーでの営業を行う場合は、営業を行う各都道府県で飲食店営業許可が必要です。

また、飲食店を経営するには、不慮の食品事故に備えてPL保険に入っておくことが望まれます。

ヒット商品の必要条件

著者が考えるヒット商品の必要条件は、

  1. おいしい
  2. 安心
  3. 楽しい
  4. 手軽

の4つだそうです。

また、利用が限定されているものを万能にすることや、逆に万能なものを専門にすることで新しい商品ができあがります。

前者の例としては、「ラー油」を「食べるラー油」にすることで利用方法を広げたことです。

後者の例としては、「醤油」を「たまごかけご飯専用醤油」にすることで、新たな市場を開拓したことです。

 

マーケットの研究

どんなお客様に何を売るのか、は全ての販売者にとって重要な問題です。

著者が行ったマーケティング方法

  • 地元のスーパーやコンビニに行って売れ筋商品を確認し、自分の開発している商品がどのような位置にあるのかを確認
  • デパ地下の専門店や海外の専門店をまわり、どんなニッチな商品が売れているかを確認
  • ネットで類似品の口コミサイトを確認したり、大手メーカーの新製品を確認して、商品の動向をさぐる

開発時に大切なこと

著者が挙げた商品開発の重要ポイントは2つです。

  1. 商品のネーミング
  2. パッケージ

商品のネーミングはとても大切な要素です。

商品の本質を一言で言い表しながら、印象に残る名前が大事です。

響きが良く、消費者の耳に残りやすい言葉を選ぶことがポイントです。

 

本書で著者が何度も述べていることですが、パッケージはとても重要です。

容器の色、形、材質、文字など、こだわるポイントはたくさんありますが、その中でも一番重要なのは容器の形だと言います。

 

著者の考えるこれから

現在は、大量消費時代の味の均一化が終わり、消費者が原点回帰しているといいます。

消費者はどんどん作り手の心を求めるようになっていきます。

それを実現できるのは大手チェーン店ではなく、小さな個人営業店です。

 

また、昔みたいに小さな町の飲食店が地元のお客さんでにぎわう日が来たらいいなと思います。

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