「プロフェッショナル仕事の流儀 生命科学者 上田泰己の仕事生命科学者」は、生命科学者という珍しい職業の第一人者上田泰己を追いかけた映像(2010年2月16日TV放送回)です。
生命科学者という職業をご存知でしょうか。
遺伝子の羅列をコンピューターで解析し、人体の秘密を探る職業です。

©NHKエンタープライズ
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上田泰己の功績
上田泰己は、まだ20代だった頃に体内時計の科学的解明で30年来の秘密を解き明かし、世界から注目されました。
体内時計は、元々、夜中に強い光を浴びるとリセットされることまでは知られていました。
その原因が、体内時計細胞にあり、その細胞に強い光を当てると、細胞の時計がバラバラになり、止まっているように反応することを上田泰己が解明しました。
この研究は、うつ病や不眠症の改善に大きな効果をあげると言われています。
同じ薬を使っても、どの時間に使うかで大きく効果が変わることが解明されつつあります。
「分からない」を楽しむ上田泰己のすごさ
上田泰己は放送の中で、実験で起こった些細な変化に目をつけ、そのわけがわからないデータを見ながら楽しそうに悩んでいます。
「わけがわからない事にこそ鉱脈がある。」
生命という壮大な謎を追っているからこそ、わけがわからないものに注目する必要があります。
この姿勢が、世界を驚かせる体内時計の発見につながりました。
上田泰己を変えた運命の出会い
幼いときから好奇心旺盛な上田泰己は、小学校5年生のときに「自分って何だろう?命って何だろう?」と悩み、頭から離れなくなります。
高校に入学した上田泰己は、緒方道彦校長に出会います。
並々ならぬ好奇心で世界中を回った緒方道彦の話に、上田泰己は心を打たれました。
東京大学医学部に進んだ上田泰己は、コンピューター会社に行ったり、製薬会社に行ったりして最新の研究を学び続けます。
大学院にいた27歳のとき、研究のリーダーとなります。
成功に取りつかれ、論文を書きまくりました。
自分は、本当は何も成果を残していないと思いながら、ひたすら論文を書きまくりました。
そんな中2年後、緒方道彦先生が倒れ、末期ガンであることを知らされました。
そこで、緒方道彦先生に、「生命の本質」という本を借りました。
末期ガンであるはずの人が、「貸してあげるよ」と言ったことに強く心を打たれました。
半世紀前のその古ぼけた本には「いつか人工的にゼロからウサギを作って皆さんを驚かせたい」と書かれていました。
その自由な発想に上田泰己はまた心を打たれました。
「もっと自由に、大胆に」
上田泰己はこれまでのテーマを洗い直し、ゴールのないテーマに挑むようになりました。
水を得た魚のように研究が楽しくなり、どんどん新しいアイデアが浮かんできました。
現在の挑戦
上田泰己が10年来の研究対象としている体内時計、その研究が最終段階となっています。
体内時計の周期がなぜおよそ24時間になるのかを解明する研究です。
現在20個見つかっている時計遺伝子のうちある1つが体内時計の周期を決めていると仮設をたて、その遺伝子のスイッチとなる遺伝子を組み換え、周期に変化が出るかを実験します。
結果は、成功。体内時計を操る遺伝子を特定し、時間を操ることに成功しました。
それで終わりではありません。
人間の生命の神秘を解き明かす旅はまだまだ続きます。
上田泰己の言葉
「プロフェッショナルとは?」という質問に上田泰己は答えます。
「時間のようにつかみようがない、見えない、形がない、そういうものに立ち向かう人。そういう人に私はなりたい。」
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