「人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている」は、伝説のブログ 分裂勘違い君劇場の著者 ふろむだ氏による著書です。
本書は、ブログのまとめなどではなく、オリジナルの書下ろしにになっています。
基本的には自己啓発本の類になると思いますが、本書のテーマは「能力よりも他人に能力があると勘違いさせるほうが大切」という変わった視点で書かれています。
個人的な感想としては、ブログの内容よりもっと分かりやすくデータやグラフを使って説明していて、すごく読みやすいです。
とにかく全編にわたって、これまでの常識をひっくり返されるようなデータの連続で、衝撃を受けますが、その中でも特に印象に残った内容を紹介させていただきたいと思います。
人は給料が安い方が仕事が面白いと感じる
まずは、仕事と報酬に関する、ある衝撃的な実験結果です。
数人の人を2つのグループに分け、それぞれ1ドルの報酬と20ドルの報酬で同じ作業をしてもらいます。
作業後に、感想を聞くと1ドルの報酬を与えたグループのほうが、作業が面白いと答えた人数が多かったのです。
それは、無意識のうちに脳が自分の行動を合理化させようと働いたことが原因です。
少ない報酬でつまらない仕事をさせられたと思うのが嫌で、脳が無意識に作業が面白かったと書き換えたのです。
重要な事項は自分で決められない
次は、世界の国々の臓器提供者の数のデータから人間の脳の働きについて考えます。
ドイツでは自分の死後臓器提供を行うことを選ぶ人は10パーセントくらいです。
しかし、オーストリアでは臓器提供希望者はほぼ100パーセントになります。
両国には、文化的、宗教的な違いはほとんどなく、他の何かの要因により差が生まれていると考えられます。
実は、単純にデフォルトが違うだけなのです。
ドイツでは、臓器提供を行いたい人がチェックを付ける仕組みになっています。
逆にオーストリアでは臓器提供をしない人がチェックを付ける仕組みになっています。
どちらの国でも、チェックをしないほうを選ぶ人が大多数になった結果、このような数字の違いが生まれるのです。
人間の脳は重要な決定をすることができません。
結果「何もしない」という選択をしてしまうのです。
検査で陽性反応が出たらガンである可能性が高いのか?
次はちょっとしたクイズのような問題提起です。
大腸ガンの検査を受けたら、陽性反応が出たとします。
大腸ガンの人はこの検査を受けると98パーセントの確率で陽性になります。
大腸ガンではない人はこの検査を受けると2パーセントの確率で陽性反応がでます。
この人は大腸ガンである可能性が高いのでしょうか?
大半の人は大腸ガンである可能性が高いと考えるのではないでしょうか。
ここで問題となるのは、そもそも大腸ガンである人の数と、大腸ガンでない人の数を比べると大きな差があるということです。
日本の人口のうち1000万人くらいはガン検診を受けるとして、実際に大腸ガンである人が10万人くらいいるとしたら、大腸ガンじゃないのに検査に引っかかる人は1000万人×2%=20万人となります。
逆に大腸ガンで検査に引っかかる人は10万人×98%=9万8000人です。
少し極端な理論に感じるかもしれませんが、そもそもの母数を考慮すれば、大腸ガンでない可能性のほうが高いという結果になります。
この本が言いたいこと
これまでのデータから分かるように、人間の脳は、本人の意思とは無関係のところで意図しない判断をくだしてしまうことが多々あります。
つまり、他人の脳に思考の錯覚を行わせることが出来れば、他人を操ることができます。
自分を、実際の実力以上に能力のある人間だと思わせることもできるのです。
そうすれば、よりよい仕事が与えられるようになり、結果として実力も伸びていきます。
そしていつしか、本当に実力がある人を超えてしまうのです。
今回紹介したのは、本書の中のほんの一部です。
他にもたくさんの衝撃的なデータと検証がありますので、ぜひ読んでみてください。
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