ファッションブランドの店舗デザインのトップ、インテリアデザイナー片山正通

プロフェッショナル仕事の流儀 インテリアデザイナー 片山正通 ドキュメンタリー
©NHKエンタープライズ

日本一のインテリアデザイナーとも言われる男、片山正通(かたやままさみち)。

プロフェッショナル仕事の流儀が彼を追い2009年11月24日に放送されたのが「プロフェッショナル仕事の流儀 人気ショップは、こうして生まれる インテリアデザイナー・片山正通」です。

 

インテリアデザイナーは、店舗のデザインを行い、お客の興味を集め店の売上に貢献する重要な仕事です。

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この記事で分かる片山正通をポイントでまとめ

  • 天才デザイナーでも毎回迷いながら試行錯誤する
  • 客の視点で店内を回る想像をしながらデザインする
  • お店の経営理念をデザインに反映させる
  • 現場に足を運んで細かく調査することが大切

片山正通の一日に密着

午前10時半、渋谷にあるオフィスに片山正通がやってきます。

意外と遅い出勤です。

撮影当時の2009年、片山正通の経営する株式会社ワンダーウォールは社員17人を抱え、東京、ロンドン、パリなどで20を超える仕事を行っていました。

2019年現在では25人の従業員を抱えています。

 

ニューヨークにある超人気ファッションショップや代官山にあるオシャレなファッションショップなど様々な店舗のデザインを行ってきました。

片山正通の作品
  • A BATHING APE (原宿/渋谷/香港/NY/ロンドン他)
  • ユニクロ ソーホーニューヨーク店
  • A.P.C. DAIKANYAMA HOMME

 

片山正通はファッションの店舗を得意とします。

片山正通が目指す理想の店舗デザインは

「なぜか入ってしまい、いつの間にか店内をめぐってしまう店」

です。

撮影中に、ちょうどデザインの依頼が入ってきていました。

  1. ゾーニング作業
    ※ 売り場の形を決め、棚や商品を配置する店の骨格を決める作業です。
  2. 「人が歩く導線」を計算しながら考えていく作業
    撮影中に行ったデザインでは、わざと商品が途切れるように配置し、客に店の奥が目が行くようにし、そこに大掛かりな仕掛けを作ることを検討します。
  3. 練り上げたデザインを模型にする

 

デザインを行う上で片山が心がけているのが

「客の目線になりきる。」

ことです。

模型が出来上がってからが天才デザイナーの真骨頂

デザインが模型となってできあがったときに片山正通は何か特別な仕掛けをしたいと感じました。

 

片山正通は模型を見ながら、店の入り口に巨大なマネキンを持ってきて、あえて中が見えないようにデザインを変更しました。

店の外から中がのぞけない仕組みにして、中が気になり、店に入ってしまうような仕掛けです。

 

さらに片山正通は模型を厳しい目つきであらゆる角度から見ながら、棚の位置や向きを細かく調整していきます。

 

片山正通には、「客の目線になりきる」ことの他にもう一つ大事にしていることがあります。

それが、

「依頼者の思いを形にする。」

ことです。

 

片山正通は店舗のデザインの依頼を受けるときに、依頼者の思いを形にするため、商品にこめる思いや、経営の理念をじっくりと聞き取ります。

集客を伸ばす店を作るだけではなく、同時に依頼者の思いを形にする、この二つを両立するのは非常に難しいことです。

 

片山正通は、悩みながらデザインを何度も何度も修正します。

「自信がないから何度もやる」

超一流のデザイナーとなった今でも悩み続けます。

苦労した駆け出し時代

片山正通は1966年に岡山県瀬戸市に生まれました。

実家は家具店を経営していました。

高校卒業後、実家を継ぐ予定でインテリアの専門学校に行きました。

 

しかし、片山正通は家具店ではなく店舗のデザインを行いたいと思うようになり、21歳で東京の店舗デザインの店に就職しました。

 

26歳で店舗デザインを行う事業で独立しましたが、時代はちょうどバブルがはじけたときでした。

事業を縮小する企業がほとんどで、新たに店舗を造る企業はほとんどなく、店舗デザインの仕事はほとんどありませんでした。

 

片山正通は、片っ端から営業のため電話をかけますが、どこにも相手にされません。

 

お金がなくどん底におちいった片山は、生活のため消費者金融からお金を借りてその場をしのぐ日々でした。

 

そんなある日、片山正通に一つの転機がきます。

商品のアピール力の弱さを店舗デザインでカバーしてほしいという依頼が来ました。

片山正通はとにかく目をひくような奇抜なデザインにしました。

 

完成したお店を見に行くと、全くお客が入っていませんでした。

奇抜すぎるデザインが、全く商品のコンセプトに合っていなかったのです。

どん底の片山正通に訪れたチャンス

片山正通にチャンスがおとずれます。

原宿で若者に人気のある店舗のデザインの依頼でした。

今度は、クライアントに、どんなブランドに育てたいのか徹底的に聞きとりを行いました。

店舗にも頻繁に足を運びました

とにかく商品イメージに合った店舗を作ることを心がけてデザインを行います。

あえて売り場面積を減らし、そのスペースにモニターを置いて、ブランドイメージを伝えるようにしました。

 

開店の日、恐る恐る店を見に行くと、開店同時に客が殺到しているのを目の当たりにしました。

 

片山正通の中でクライアントの思いが何より大切だと確信した瞬間でした。

 

ビッグプロジェクトに挑む

撮影中、片山正通にビッグプロジェクトのデザインの依頼がきました。

ナイキが東京に出店する基幹店のデザインを任されます。

片山正通は、ブランドイメージを生かし、陸上競技場のトラックに見立てた楕円形のデザインに挑戦します。

 

デザインの構想を完成させ、クライアントへ提案を行ったところ、思いもかけない返答がきます。

「今のデザインにブランドを象徴する何かを加えてほしい」

抽象的でハードルの高い注文です。

その課題に答えるため、毎日深夜まで働き、悪戦苦闘する日々が2か月続きました。

 

考え抜いた結果、壁を過去のナイキの靴底でデザインする提案をします。

クライアントの反応は上々です。

 

靴底のデザインを壁に貼っていき、サンプルの壁を作りクライアントに見せます。

壁が目立ちすぎて商品が目立たないとクライアントからまた注文が入ります。

オープンまでの時間を考えると、一刻の猶予もありません。

 

片山正通は、またしても悩みに悩みぬいて、靴底を四角の中に入れて、タイルのように整然と並ぶようにしました。

これにより、靴底の奇抜なデザインがタイルのような形にスッキリと並び、自然な壁となりました。

ギリギリのところでクライアントのオッケーがでました。

 

開店の日、満員のお客が店の奇抜なデザインを楽しんで笑顔を浮かべています。

 

「プロフェッショナルとは?」

この問いに片山正通は答えます。

「いかに楽しめているか。自由で、やっている人が楽しんでいることが人に伝わっていく。」

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