有機農業の世界で知らぬ者はいないカリスマ農家金子美登(かねこよしのり)。
市場に出回っていない小規模な農作物を作る農場なのに、日本中の農家の憧れです。
60種類もの野菜、果物、米を農薬も化学肥料も使わずに作ります。
金子美登の口ぐせは「がまん」です。
30年前、誰からも理解されず、利益も出せず、死を考えたこともありました。
番組の収録中におとずれた、16年ぶりにおとずれた異常気象。
金子美登の戦いが始まります。
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金子の農業の1日に密着
金子美登の朝は、まず早起きして、害虫との戦いです。
今日の農作物の様子を一つ一つ確かめながら、自らの手で害虫を丁寧に取っていきます。
たくさんの虫が集まる金子美登の農場は、周りの農家から「命がめぐる農場」と呼ばれています。
- 腐葉土は糞尿や生ごみを発酵させて作る
- 腐葉土に雑草が育つ
- 家畜は農場の雑草を食べて育つ
- 家畜の糞尿が腐葉土の栄養を作る
まさに命がめぐっているのです。
金子農法の無農薬の秘密
有機農法は野菜の病気との闘いです。
金子美登は、農薬を使わず野菜を育てるため日夜研究を重ねています。
育てる野菜の組み合わせによって、病気を防ぐ独自の農法を研究しています。
- ニラの微生物がトマトの病気を防ぐ
- テントウムシはイチゴにつくアブラムシを食べてくれる
テントウムシを呼び込むためイチゴの近くで大麦を育てます。
金子美登の野菜は超レア
金子美登が育てた作物は、通常の流通経路には乗りません。
直接契約している家庭や企業に配ります。
出来上がった野菜を配った家庭は、うれしそうに金子の野菜を受け取ります。
そんな金子美登が大事にしている言葉。
「平凡なことをやりきることが一番偉大」
どんな悪天候でも農業をやめない
今回の撮影中に梅雨の時期がきました。
大雨の中、田植え作業を続ける金子美登を、雷が強いから辞めるよう妻が説得しに来ます。
しかし、金子美登はやめようとしません。
「今しかないから。」
常に命と向き合っている金子美登にとって、今日という日は代えの利かない日です。
命を育てるとは、そういうことなのです。
大雨が止み、農薬を散布しない金子美登の農場にはたくさんのホタルが夜空を舞いました。
最初は苦労の連続
金子美登の有機農法も最初から順風満帆であったわけではありません。
高度経済成長期で農薬散布による大量生産が増えていた時代、金子美登の無農薬の農場は全く収穫が増えず、他の農家の4分の1の収穫量という作物もありました。
せっかく取り付けた直接契約の家庭も、スーパーより高いといい離れていきました。
当時は、有機農法がまだそれほど認められていない時代だったのです。
金子美登と家族は自分で作った野菜を食べて飢えをしのぎました。
それでも一生懸命文献を読み漁り、ヒントがありそうな農場へ足を運んで徹底的に勉強しました。
そんな金子美登の努力を見ていた人たちから、少しずつ契約してくれる家庭が増えてきました。
ある日、地元の農家の人たちが有機農業を教えてほしいと金子美登の元を訪れました。
農作物に安全を求める時代がやってきたのです。
時代が金子美登に追いつきました。
風向きが変わった瞬間です。
16年ぶりの異常気象
プロフェッショナルの撮影中、金子美登の農業に危機が訪れます。
雨が降り続き、全く日照期間がないのです。
これほどの異常気象は16年ぶりとなります。
稲作においては、日照時間が不足するとイモチ病という病にかかってしまいます。
16年前に同じような異常気象が起こったとき、金子美登はイモチ病により3割のイネを失いました。
イモチ病は、化学肥料を使えば抑えることができます。
しかし、有機農法ではそういうわけにはいきません。
金子美登は悩みぬいた末、わざとイネの周りに雑草を生やし、イモチ病を防ぐという挑戦を始めます。
そこで、雑草にイネの栄養素を取らせる作戦です。
この作戦では、イモチ病になる可能性を少なくすることができますが、雑草に栄養分を持っていかれるため、豊作となることもありません。
少しずつ天候を見ながら雑草の量を調整していきます。
水温を毎日調整し、イネの少しの変化も見逃さないように注意を払います。
そして、11月の収穫を迎えました。
豊作とはいきませんが、イモチ病の発生を最小限に抑えることができました。
普通の農家であれば農薬で済ませるところを、有機農法で悩み続けながら解決していきます。
金子美登の挑戦はこれからも続いていきます。
「プロフェッショナルとは?」
この質問に金子美登は答えます。
「100年先も永続するような匠の技を持った人」
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