プロ経営者、大久保恒夫(おおくぼつねお)をご存知でしょうか。
低迷するユニクロを立て直した人物です。
ユニクロといえば、衣料業界の唯一の勝ち組と言える、世界で活躍する数少ない日本企業の一つです。
そのとき、経営を立て直すためにコンサルタントとして呼ばれたのが小売業再建のプロ、大久保恒夫でした。
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ユニクロの改革が始まる
ユニクロの経営再建に着手した大久保恒夫は、すぐに社内の問題点に気が付きます。
全ての権限がトップに集まり、店舗ごとの特色がないこと、トップダウンの経営方針のためお客様の意見が集約されていないことに気が付きました。
そこで、改革として店舗の担当者の権限を大きくし、レイアウトも店舗で働いている者たちが自分で決められるようにしました。
しばらくして改革が功を奏し、ユニクロは高収益企業としてよみがえりました。
新たなる改革への挑戦
そんな大久保恒夫がプロフェッショナルの撮影当時の2009年に挑んでいたのが、都内に65店舗を構える老舗スーパーの立て直しです。
TVではスーパー名は伏せられていますが、成城石井です。
成城石井は、経営陣が代替わりした際に経営につまづき、利益が半分になるピンチを迎えていました。
そこで、ユニクロ等の立て直しにより経営改革に定評のあった大久保恒夫に白羽の矢が立ちます。
今回の成城石井の改革では、大久保恒夫は経営コンサルタントとしてではなく、初めて代表取締役として経営手腕をふるうこととなります。
結果、就任2年半で利益を3倍に伸ばすことに成功しました。
大久保恒夫は何がすごいのか?
大久保恒夫と普通の経営者の違い
- 経費削減のため徒歩で会社へ行く
- 社内に社長室は作らない
- コピーなどの雑務も自分でやったほうが早いことは自分でやる
- 自分の足で店舗を積極的に回って問題点や改善点を確認する
この番組の撮影中、ある店舗を回ったときに商品棚がスカスカであることに気が付きました。
大久保恒夫の経営方針として、店舗に強い権限を与え、仕入についても店舗に全て任せていました。
ユニクロのときと同じトップダウンの経営からボトムアップの経営への変革です。
しかし、それが経験の少ないまじめな店長のプレッシャーとなり、利益確保を最優先した店長が仕入を減らしてしまったことが原因でした。
大久保恒夫は店長を直接指導することはせず、全店に対し以下のような指示をしました。
「ロスを気にせず、むしろロスを出していくよう」
大久保流の人の育て方
大久保恒夫は、売上よりも挨拶や接客がよい店舗を評価します。
大久保恒夫が雇った調査会社が客として来店し、各店の挨拶や接客の良さをスコア付けしています。
スコアデータを読み込む大久保恒夫が、北千住店が2か月連続でスコアが悪いことに気が付きました。
いつものように社長自ら店舗に向かい原因を探ります。
しかし店舗に着いても店長に声をかけるのではなく、大久保恒夫は遠くから見ているだけです。
大久保恒夫が北千住店の店長に指示したのは、「別の店舗の視察を行うこと」ただこれだけでした。
大久保恒夫が北千住店の店長に視察を指示した店も、かつては北千住店同様スコアが悪かったのですが、店長が変わって激変した店でした。
ヒントを与え、自分で気づくのを待つのが大久保恒夫のやり方です。
北千住店の店長は、他店を視察して、自分はあまり人に指示を出すのが得意なタイプではなく、意見をちゃんと店員たちに伝えられていなかったことに気が付きました。
自分の店舗に戻った北千住店の店長は、自ら積極的に店員たちに自分の意見を言いました。
翌週、大久保恒夫が再度北千住店に視察に行った際、笑顔で接客する店員たちがいました。
「プロフェッショナルとは?」
の問いに大久保恒夫はこう答えました。
「仕事に楽しく挑戦し、仕事を通して成長できる人。また部下を仕事に楽しく挑戦させ、仕事を通して成長させられる人。」
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