今回紹介するDVD「クレイジーハニー」は、本谷有希子原作の舞台です。
2011年8月に公開されたこの舞台は、長澤まさみの「初舞台にして主演」という大役です。
本谷有希子は、この舞台のインタビューで、長澤まさみの新たな一面を出せるよう脚本を作ったといいます。
- 乱暴と待機
- 遭難、
- 幸せ最高ありがとうマジで!
舞台「クレイジーハニー」は、本谷有希子が長澤まさみのために作った長澤まさみによる長澤まさみのための舞台なのです。

©2011PARCO
ジャケットや広告ではテニスウェアを着たPOPな写真が使われていますが、この舞台はテニスと全く関係ありません。

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ストレートプレイ(ミュージカルなし)で、かなり暗い内容です。
長澤まさみが演じる主人公の感情が分かりづらく、観る人によって感想が違う、とても考えさせられる舞台です。
あらすじ
主人公のひろみ結城(長澤まさみ)は、10代でケータイ小説を発表し、一時は人気を集めたものの、実体験を基にした作風に路線を変更してからは人気が急落します。
ひろみ結城は、飲み屋のママ甘田(リリーフランキー)とトークショーを開催して日銭を稼いで生活をつないでいます。

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編集プロダクションに勤めている二見(成河)から、ひろみ結城と甘田のトークショーの場を利用して、新しい本を作りたいと提案があります。
そこで、ファンの中でもひろみ結城を「本気で応援している」面々が集められ、いまだかつてないトークショーが繰り広げられることとなります。

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感情の理解に苦しむ(ネタバレあり)
主人公のひろみ結城の感情や行動がむちゃくちゃで、非常に理解するのが難しい舞台です。
長澤まさみも、インタビューで「最初はひろみ結城の感情が理解できなかった」と言っています。

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ファンの人にお金を要求して、地面にバラまかれたお札を笑いながら拾っていたと思えば、キレ始め、落ち込み出すというシーンは、ひろみ結城の狂気的な感情をよく表しているシーンです。
ただ、この行動が何を意味していて、何を伝えたかったのかは、観る人によって解釈が違うと思います。

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また、舞台終盤ではひろみ結城はパニックになるファンのみんなを見て爆笑していますが、最後はみんながいなくなって号泣しています。

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この舞台は何を伝えたかったのか
なぜ主人公がこのような破滅的な性格になってしまったのかが、この舞台の一番のポイントです。
原作者の本谷有希子は、「長澤まさみ、リリーフランキーという個に対し、ファンのみんなという集団という対立」を作りたかったといいます。

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最終シーンではリリーフランキーが演じる甘田が、自らの目と耳を接着剤でふさいでしまうというシーンがあります。
それを見てひろみ結城は「すごいねー」と笑っています。
世の中は、見たくないものや聞きたくないことであふれていて、そんな世界では生きていきたくないという表現でしょうか。
感想は観た人それぞれでいいと思いますが、決して悲観的な内容だけではなく、希望の部分も見いだせるととてもよい舞台に見えてくる不思議です。
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