「プロフェッショナル仕事の流儀 建築家 伊東豊雄」は、日本が誇る世界的な建築家、伊東豊雄の仕事を追いかけたDVD作品です。

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「プロフェッショナル仕事の流儀」に関する記事
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「プロフェッショナル仕事の流儀」のDVDに関する記事のまとめ
伊東豊雄とは?
伊東豊雄は、撮影当時67歳でした。
既に天才建築家としての名声を得ていました。
東京大学工学部建築学科を卒業し、菊竹清訓設計事務所に勤務しました。
30歳のときに独立し、アーバンロボット(現在は伊東豊雄建築設計事務所という名称に変更)を設立しました。
当初は個人住宅を手掛けていましたが、公共施設を手掛けるようになってから、その知名度は一気に上がりました。
代表作に「せんだいメディアテーク」があります。
- RIBAゴールドメダル
- プリツカー賞
- 高松宮殿下記念世界文化賞
このDVDのオススメポイント
- 一流は何歳になっても挑戦を続ける
- 天才にも若き日の苦労があった
- 公共建造物のコンペという仕事
- 天才建築士独自の考え方
番組では4か月間のコンペに挑戦する伊東の仕事の様子を追います。
かつて50代で味わった屈辱。
「お前のやっていることなんか、何の意味もないよ。」
悔しさを噛みしめ、成長してきた男の物語です。
伊東豊雄の日常
伊東豊雄の職場「伊東豊雄建築設計事務所」は東京の渋谷のビル群の谷間にある古い貸しビル。
伊東豊雄は毎朝9時半に出勤します。
朝は自分で一杯のエスプレッソを作りスイッチを入れます。
意外なことに伊東豊雄はパソコンが使えません。
秘書が伊東豊雄あてに届いたメールを印刷して読むのが日課となっています。
伊東豊雄の仕事の内容
常に10以上のプロジェクトを同時に抱えています。
ほとんどが海外の仕事です。
伊東豊雄建築設計事務所で働くスタッフは40です。
海外から伊東豊雄と仕事をしたくて来日したスタッフもいます。
手掛けるのは大規模な公共建築です。
負ければ費用は全て持ち出し、厳しい世界です。
ほとんどが総工費数十億から数百億のビッグプロジェクトで、伊東豊雄はコンペの勝率5割というとんでもない成績です。
伊東豊雄の代表作「せんだいメディアテーク」
伊東豊雄を世界的に有名にした代表作は、せんだいメディアテークです。

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柱や壁を大胆にとっぱらって、空間を生かしました。
年間100万人が利用する市のシンボルとなりました。
番組収録中に参加したコンペ
ノルウェーの首都オスロの再開発プロジェクトの中核となる巨大な図書館のコンペに挑みます。
ライバルは20組いました。
伊東豊雄は、実際にオスロに行き、日本と違いゆったりとしたスピードで人々の生活が流れていることを感じ取ります。

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その感覚から、リビングのようにくつろげる空間でなければならないと考えます。
日本に戻り、それぞれの社員が作ったコンペの計画を一つ一つ確認します。
「学生の講評をしているみたいだ。やってらんねぇよって感じ。もうちょっと次回までに。遅すぎるけどね。」
伊東豊雄は厳しい言葉を投げかけます。
若き日の苦悩と葛藤
伊東豊雄は、30歳で建築家として独立しました。
まもなくオイルショックが起き、新人に仕事はなく、土木工事の図面書きのアルバイトで数年をしのぎました。
親戚から家の設計の仕事をもらい何とか仕事を続けます。
次第に住宅の仕事で注目されるようになってきます。
アルミを使った白い家で大きな賞をもらい、一躍有名になりました。
まもなく公共建築の仕事が入ってくるようになりました。
ある日、自分が作った建物にこんな評判が付いているのを聞きます。
「あの建物、外はきれいだけど中に入るとつまんないよ。」
外側を作るだけではなく、中のデザインも含めた、もっと踏み込んだ仕事がしたいと考えるようになりました。
しかし、それは建築家の仕事ではないと言われた。
ただ箱を作るだけの仕事でいいのか、と悩み続けました。
54歳のときあるコンペの話が舞い込みます。
のちに、伊東の代表作になる仙台市の図書館のコンペです。
既成概念を打ち破る新しいデザインが求められました。
この仕事にかける。
自分の殻を打ち破るデザインを目指しました。
見事コンペを勝ち取り、伊東の運命が大きく変わりました。
伊東が目指す理想の建築
伊東豊雄は、理想の建築についてこう語ります。
「建築というのは何らかの形で人をコントロールしてしまう。だから、できるだけ自然の形にしたい。」

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伊東豊雄が語る究極の建築は意外なものでした。
「さくらの中に幕を張っただけ。」
シンプルだけど、その中に人が集まり、笑顔の輪ができる。
建物ではなく人と自然が主役です。
オスロコンペの進展
オスロの図書館のデザインも少しづつ進展していきます。
ある社員が、多面体を組み合わせて各部屋を作るアイデアを持ってきます。
この形に伊東豊雄は可能性を感じます。
後日、できあがった模型を見て、「いいね、これ。」
今度は、社員をほめます。

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アイデアを盛り込んで再度出来上がった多面体を見て、今度は伊東豊雄が怒ります。

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「こんなの面白くない。」
空間の広がりを意識しすぎた結果、多面体の良さが消えてしまっていたのです。
もう一度、多面体の面白さを意識して、スタッフ総出で模型を作ります。
次第に模型は納得できる形に仕上がっていきます。
しかし伊東豊雄は、もう一つ、多面体の面白さを伝えるインパクトが必要だと考えていました。
多面体の壁一面に本を散りばめて、展示会のようにする案を思いつきます。
これを何とか形にしたいと考えます。
そして、できあがった模型。

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世界のどこにもない斬新なデザインです。
中央には本を散りばめたデザイン。

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数か月後、惜しくもコンペに負けます。
しかし、伊東豊雄は「収穫は多くあった。次につながる。」と笑います。
プロフェッショナルとは?
この問いに伊東豊雄が答えます。
「常に新しいことをやり続けながら、しかしそれが実験が実験でなくて、人々にいつも心地よいと思うような、そういうクオリティーを確保できる人でありたいと思います。」
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