起業家を目指す学生へスタンフォード大学が送る名講義

スタンフォード白熱教室 投資・金融・会社経営(DVD)
©NHKエンタープライズ

「スタンフォード白熱教室」は、世界屈指の超名門校、スタンフォード大学の中で、学生たちの絶大な人気を博す伝説の教授、ティナ・シーリグによる「起業家育成コース」の講義を、NHKが映像化したものです。

Googleの創業者ラリー・ペイジもここで起業家の基本を学びました。

これまでは、スタンフォード大学に入学した者だけが見られる貴重な講義でしたが、映像化されたおかげで世界中の人々が一流の教授から学ぶことができるようになりました。

ティナ・シーリグの講義の内容

ティナ・シーリグといえば、ブレイン・ストーミングなどのチームでの作業による講義で、創造力を養う講義で有名です。

ブレインストーミングは、集団で新しい発想を生み出したいときの会議の方法の1つです。
ブレインストーミングのルール
  • 判断・結論を出さない
  • 粗野な考えを歓迎する
  • 量を重視する
  • アイディアを結合し発展させる

今回NHKが映像化した講義風景でも、生徒同士が自発的に会話を行い、チームで答えを導いていく様子が撮影されています。

ブレイン・ストーミング

©NHKエンタープライズ

 

DVDには、全8回の1時間×8の講義内容が収録されています。

第1回:ブレイン・ストーミングで可能性を探れ!

第1回のテーマは、「ブレインストーミングをどのように行うべきか」という、基本的な内容です。

3段階のブレインストーミング
  1. 全て頭の中にあるアイデアを出し切ること
  2. 出てきたアイデア同士をつなげて新しいアイデアにする
  3. ひねり出したアイデアが自分でも思いつかないような素晴らしいアイデアになる
ティナ・シーリグが考える最適なブレインストーミング
  • ブレイン・ストーミングに使う時間は10分~45分
  • ブレイン・ストーミングに参加する人数はピザ2枚分を食べきれる人数(8×2枚=16人くらい)
  • 発想を刺激してくれる小物を持ち込む

紙とペンだけで会議をするのではなく、積極的に小物を使って具体的なイメージを広げていくのがポイントです。

第2回:名札をめぐる冒険

第2回の講義のテーマは「問題点からチャンスを探れ」です。

名札を使ったブレインストーミング

参加者の大学生が付けている名札の問題点をみんなで話し合います。

  1. 名札の機能は何か?について話し合う
  2. 名札の「好きなところ」「嫌いなところ」について話し合う
  3. 解決しようとする問題点を一人で決める
  4. 一人でブレインストーミング
  5. みんなでブレインストーミング
  6. ブレインストーミングで出た新しい発想の名札の試作品を作る
  7. 試作品をみんなに発表する

ポイントは、「どういう道筋で問題を解決していくと、良い答えが見つかるか」を実際に体験することでブレインストーミングをうまく進める能力が身に付くことです。

どういう議論をさせたいのかを、うまくコントロールするティナ・シーリグの技術が詰まった回です。

第3回:最悪の家族旅行を考える

第3回では「最悪のアイデアを最高のアイデアに変える」ブレインストーミングの方法です。

  1. メンバーを複数のグループに分ける
  2. グループで最高の家族旅行を考える。
  3. 1グループで1つの答えに絞る
  4. 同じグループで最悪の家族旅行を考える
  5. 1グループで1つの答えに絞る
  6. 別のグループに自分のグループの最悪の家族旅行の答えを渡す
  7. 渡された答えを最高の旅行になるよう旅行プランを考える

ポイントは、「極端な例から逆転のアイデアを探そうとすると、常識に縛られない全く新しい発想が生まれる」ことです。

大事なことは、最悪に思えるようなアイデアを捨てないことです。そこから素晴らしいアイデアが生まれることもよくあるのがブレインストーミングです。

第4回:6色の考える帽子

エドワード・デボノ博士が提唱する、人間の思考法は6つの性格に分かれるという理論を基に、ブレインストーミングを行います。

6つの性格
  • 創造性でリードするタイプ
  • 事実を重視しデータが好きなタイプ
  • プロセスを重視し、段取が好きなタイプ
  • 和を重んじ、楽観的なタイプ
  • 感情で人を動かす、直観を重視するタイプ
  • ダメ出し屋で、問題点を指摘するタイプ

各グループに全てのタイプが存在するようにチーム分けを行いブレインストーミングを行います。

ポイントは、「メンバーの性格を理解したうえでブレインストーミングを行ったほうが、より議論が活発になる」ことです。

第5回:30分で新製品を作る

第5回もブレインストーミングの実践講義ですが、これまでよりもっと具体的にアイデアを製品化するためのブレインストーミングの仕方の講義です。

 

ある企業が、アースデーに向けて、4枚1セットのカードをデザインし、販売するという仮定でブレインストーミングを行います。

「アースデー」とは、日本ではあまり馴染みのない文化ですが、4月22日の地球の環境のことを考えて行動する日のことです。

ポイントは、「どんな製品を作るのか」、ということより、「製品にどんなストーリーを持たせて販売するか」、が顧客の心を大きく動かすということです。

第6回:トランプで創造性を学ぶ

第6回は、これまでのブレインストーミングの講義とは違い、トランプを使ったゲームです。

トランプゲームのルール
  1. 数人づつのチームに分かれる
  2. 部屋を真ん中で2つに分けてチームを2つの世界に分ける
    片方はチームごとにテーブルがある世界、もう一方はイスしかない世界とします。
  3. トランプとチップ10枚を配る
  4. トランプで「家」を作る
    「家」の各階は同じ色(赤か黒か)で統一し、最上階は絵札(J・Q・K)で統一します。
  5. チップを使い他のチームからトランプを購入することができる
  6. 作った家の階数に応じてチップ(報酬)が支払われる

ポイントは、「トランプで家を作る」という情報だけが与えられ、どのようにどんな家を作るかが一切指示されていないことです。

学生たちが考えた色んな作戦
  • トランプを破って二つにする
  • チームを合併する
  • 他のチームが必要とするカードを買い占める

このゲームは、会社を起業する際にどのように行動すべきか、という命題に非常によく似ています。

おもしろいことに、テーブルのある世界では各チームが必ずバラバラに活動し、イスしかない世界ではチームを超えて全員が協力して行動し始めるそうです。

世の中のほとんどのルールは、ただの提案であり、必ず守らなければならないということではない、思い込みでルールに縛られて発想が制限されることが問題なのです。

第7回:あこがれの起業家に学ぶ

第7回はゲストの起業家を招いての講義です。

一人目は、1992年にパーム社を設立したジェフ・ホーキンスです

ジェフ・ホーキンスは、Palmと呼ばれるスマートフォンの原型となる端末を開発した人物です。

 

 

二人目は、16社以上の企業を立ち上げた、会社立ち上げのスペシャリスト、ドナ・ノビツキーです。

 

三人目は、Facebookで働く開発者ジュリー・ズーです。

ジュリー・ズーは、スタンフォード大学でティナ・シーリグの講義を受け、フェイスブックに入社し、いいねボタンを開発した人物です。

 

四人目は、ブレンダン・ボイルです。

ブレンダン・ボイルはデザイン企業を立ち上げ、150以上のおもちゃを発明した発明家です。

 

これら4人に、普通にトークをしてもらうのではなく、生徒から質問し、ウソを交えて回答してもらいます。

生徒はその嘘を見抜く勝負をします。

そうすることで、ただ話を聞くだけではなく、聞き手にも考える力が養われます。

最終回:コーヒーの新しい飲み方を考える

最終回では、これまでの講義での内容を踏まえ、「コーヒーの新しい飲み方」をブレインストーミングで考えます。

課題は事前に与えられており、実際に時間をかけてそれぞれのチームが映像作品を作ってきます。

それぞれがユニークでかっこいい作品を作っており、観ているだけで楽しい回です。

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