千日回峰行(せんにちかいほうぎょう)という言葉をご存知でしょうか。
仏教において最も厳しいとされる修行です。
- 千日間、一日40キロの山道を歩く
- 午前1時に出発し、6時間をかけて険しい山道を往復する
- どんな病気でも怪我でも一日も休めない
- ギブアップする際には自害する
- 700日を達成した時点で9日間の断食に入る
比叡山の400年以上の歴史の中で達成した者は50人ほどしかいません。
その中でも複数回達成という奇跡を成し遂げた酒井雄哉(さかいゆうさい)の実際の修行の様子をNHKが追いかけた後世に残すべき映像です。

©NHKエンタープライズ
酒井雄哉とは
酒井雄哉は戦時中を予科練生として過ごし、戦後に闇ブローカーなどの仕事をして生き抜いていました。
結婚後まもなく妻が自殺します。
このできごとが酒井雄哉に出家を決意させる大きなきっかけになります。
比叡山の僧になるには、比叡山僧院で、最低60日修行を行います。
39歳で入山した酒井雄哉は120日に及ぶ修行の末、比叡山僧となりました。
そして、49歳のときに千日回峰行に挑むことになります。
千日回峰行の詳細
千日回峰行は、最初の3年間で年間100日を回峰します。
4年目からは年間200日回峰することになります。
そして、5年目を終え700日を過ぎると、「堂入り」という一つの節目を迎えます。
生き葬式を行い、9日間の断食を行います。
9日間は飲まず食わずだけではなく、一切眠ることも許されず、体を休ませることもできません。
この断食が一番死の危険が高く、千日回峰行の最大の山場です。
この断食を行うことで、修行僧は不動明王と一体化することができるといいます。
毎日1度、夜中の2時に仏様にお供えする水を汲むためだけに外気に触れることが許されています。
断食中の実際の様子
酒井雄哉さんの堂入り(断食中)3日目の水汲みの貴重な映像が記録されています。
もちろん修行者は一切水を飲むことはできません。
精気はなく、限界と戦っている様子が表情から分かります。

©NHKエンターブレイン
また、堂入り前日の酒井さんの貴重なインタビューの様子が記録されています。

©NHKエンターブレイン
「もし、途中でこと切れた場合には草木になって自然を守る一員になりたい」
と、静かに語る酒井雄哉の言葉の重みは震えが止まらないほどです。
堂入り5日目にもなると、瞳孔は開きっぱなしになり、端から見ても明らかに様子のおかしくなっています。
座っていることすら難しい様子がうかがえます。

©NHKエンターブレイン
9日目、最後の水汲みには信者たちが集まり徹夜で念仏を唱えます。

©NHKエンターブレイン
そして、9日の修行を終えたあと、行者から阿闍梨(あじゃり)へと生まれ変わります。
コメント