2001年、中国のゴビ砂漠の乾いた大地から、幾重にも折り重なった恐竜の化石が見つかりました。
これらの化石は、研究の結果ジュラ紀中期の恐竜たちだということが分かりました。
この時代に何があったのか、なぜ恐竜が重なって死んでいる墓場のような場所が作られることとなったのか。
ナショナルジオグラフィックがその謎に迫ります。
恐竜巨大化の謎にせまる
小型のは虫類から進化した恐竜は、ジュラ紀中期から白亜紀にかけて巨大化したと考えられています。
しかし、世界でこれまで見つかっていた化石にはジュラ紀中期の化石がすっぽりと抜け落ちていました。
そのため恐竜がなぜ巨大化したのかは謎に包まれており、それを証明するチャンスが今回のゴビ砂漠での化石大量発見にかかっていたのです。
400体もの標本、40種類の恐竜の化石がゴビ砂漠から見つかりました。
その中でも最も注目されたのが4体の恐竜が重なって見つかった「恐竜の墓場」です。
折り重なった恐竜の一番上層で見つかった新種の恐竜は肉食恐竜ラプトルに似た恐竜で、グアンロンと名付けられました。
グアンロンはティラノサウルスの祖先であると考えられています。
グアンロンは小型の恐竜です。ジュラ紀中期に「何か」が起こり、巨大なティラノサウルスに変貌させたのです。
かつて地球上は1つの大陸だったのですが、それが分かれていったことが巨大化の原因の一つではないかと考えられています。
大陸が分かれることにより、そこに住んでいた生物たちは生息地域がどんどん狭くなっていきます。
そうすると自分より巨大な動物、捕食者に狙われる可能性が高くなっていきます。
捕食者に狙われるのを避けるために自らを巨大化させていく進化を遂げる必要があったのです。
なぜ恐竜が折り重なって死ぬのか
グアンロンが埋まっていた下層にはさらに何の動物か分からない骨も2体見つかりました。
こういった重なって化石が見つかる場所を「ボーンベッド」と言いますが、通常群れで暮らす草食動物のボーンベッドはありますが、肉食獣のものが見つかるのはとても珍しいことです。
今回ゴビ砂漠で見つかったボーンヘッドにはかつて巨大な沼があり、恐竜たちはそこにはまりもがいて死んでいったと考えられています。
しかし、突然複数の恐竜が一斉に沼にはまるのはとても不自然な現象です。
そこには他にも大きな原因がありました。
化石が出てきた土を調べると、火山灰が含まれていることが分かりました。
そこで科学者が立てた仮説が次のようなものです。
- 火山の噴火によりパニックになった小型の恐竜が沼にはまって抜け出せなくなってしまった
- その小型の恐竜を食べようと寄ってきたグアンロンたちも同じように沼にはまった
- その沼にはまった恐竜たちが抜け出せなくなりそのまま死んでしまった
- そのまま泥に埋まっていったので保存状態の良い化石が重なったまま現代に残った
考えてみれば単純なことですが、それが現在まで残って発見されることは奇跡のような確率なのです。
その奇跡のような発見の繰り返しで人類誕生前の地球の様子を少しずつ知ることができるのです。
恐竜学はとても奥が深いものです。
ナショナルジオグラフィックの映像
ナショナルジオグラフィックが太古の海のモンスターをCGで再現
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