王様ランキングはマンガハックというWeb漫画で連載が始まりSNSなどで一気に話題となっている現代ならではのヒット漫画です。
作者の十日草輔は、元々絵本作家を目指していたため、かわいい絵が特徴です。

©十日草輔/角川書店
かわいいだけではなく、人間の深い闇を映し出したストーリーから一気に話題作になりました。
あらすじ
各国の王は王様ランキングというものでランク付けされ、王たちは1位を目指して日々良い国作りを行っています。
しかし、ランキングを上げて強くなっていくというような少年ジャンプのような世界観がストーリーの中心ではなく、一人の少年の成長と、少年のひたむきさに影響された周りの大人たちの成長を描く人間味あふれるドラマがこの漫画の特徴です。
主人公のボッジはボッス王国の第一王子ですが、耳が聞こえず、話すこともできません。力が弱く子供用の剣を振ることもできません。
弟のダイダは頭がよく剣の腕も確かな周りから期待されて育った王子です。

©十日草輔/角川書店
ボッジはいつもダイダと比べられ、悲しい思いをしてきました。
そんな主人公がどんどん強くなっていく、という単純なストーリー展開ではありません。
登場人物それぞれが心に闇を抱えていて、その葛藤の中で生きていく様子に心が引き込まれます。
ボッジの境遇の秘密
ボッジの父であるボッスはその名のとおりボッス王国の王です。

©十日草輔/角川書店
ボッスはかつて、魔神と契約し最強の武力を手に入れました。
その代償に、生まれてくる子供は非力になってしまう呪いがかけられました。
ボッジの力が弱いのはそのせいです。
だからといって、決してボッスが悪人というわけではなく、大きな葛藤を抱えていて、複雑な親子関係の切なさがたまりません。
親友カゲが切ない
主人公のボッジは、その弱さと障害からみんなから嫌がられ、最初は誰も味方がいません。
そんな中、一番最初にボッジの心の優しさ・強さに気付いて親友になったのがカゲです。

©十日草輔/角川書店
カゲは、影の一族の生き残りです。
姿は黒く、影のように平面な姿のため人々から迫害を受けてきた一族で、生き残るために仕方なく盗みなどを働き生きてきました。
始めはボッジをだまして、お金になりそうなものをお城から持ってこさせていましたが、絶対に人を信じて疑わないボッジの優しさにカゲは心を入れ替えて、親友として彼を助けたいと思うようになります。
カゲは「アー」とか「ウー」しかしゃべれないボッジの言葉を理解でき、相手に伝えることが出来る、この漫画に欠かすことができない重要なキャラクターです。
この二人の種族を超えた友情が、王様ランキングの泣けるポイントでもあります。
絵本のような絵から想像する先入観を捨てて、大人の人にも一度手に取って読んでもらいたい漫画です。
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