飛行機の機内食はあらゆる計算が尽くされた完璧な料理だった

空のレストラン ドキュメンタリー
©ポニーキャニオン

飛行機の国際線に乗ったときに出てくる「機内食」。

飛行機の上なのに、まるでレストランで食べるような美しい料理が出てきます。

料理画像

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なぜ、厨房がない空の上でこんなに美味しい料理が出てくるのか疑問に思うことはないでしょうか。

DVD「空のレストラン 機内食工場」は全日空協力のもと、この特殊な料理にスポットをあてたマニア必見の映像です。

機内食専門の工場

成田にあるANAケータリング工場、通称ANAC(アナック)は、機内食を専門に作っている工場です。

ANACは1989年に開業しました。

工場内は洋食、和食、ベーカリーの3部門に分かれて日々料理を作っています。

洋食

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機内食は搭乗者の数に左右されるため、欠航、遅延、搭乗者の変更などにより作るべき料理の数は作るギリギリまで常に変動します。

工場内には頻繁に料理数の変更を告げるアナウンスが流れます。

常にアナウンスを聞きながら料理の変更を行っていく様子は匠の技術です。

機内食の難しさ

機内食は、高級レストランのような完成度の高さと、大量生産を行う際の食品の安全性が同時に求められる難しい料理です。

機内食は、規則や規制が多くあります。

機内食の規制
  • 調理してから食事が行われるまでに長時間かかるため腐りやすいものはダメ
  • 空の上では気圧により味覚が変化する
  • 数百人分の料理を空港まで運ぶため派手な盛り付けはできない
一般的に、飛行機の高度が上がり気圧が下がると、人の味覚は鈍くなってしまうので、地上でちょうどいい濃さの料理を作ると「味が薄い」というクレームにつながってしまうので、それを計算した濃さに調整する必要があります。

CAとの連携が重要ポイント

機内食を作った料理人は飛行機に乗ることができないため、実際に盛り付けを行うのはCAの仕事になります。料理のプロではないCAが狭い機内で簡単に盛り付けを行え、かつ乗客を喜ばせるような美しい盛り付けの料理でなければなりません。

また、飛行機に乗せられた料理を温めなおすのもCAの仕事のため、その温度管理も非常に重要な仕事になります。

そのため料理人は、何度に温めて乗客に提供するのか細かく指示を出します。

機内に料理を温めなおす機械はありますが、料理人は飛行機には乗りません。
CAに料理の大切な温度をゆだねるしかないのです。

 

また、料理人たちは料理を食べた乗客たちの反応を見ることができません。

そのためCAとの細かい情報交換が欠かせません。

お客様の機内食への反応を直に見られるのはCAだけです。

料理長とCAが定期的に集まり、お客様からのフィードバックを行っています。

料理の安全性の確保が大事

工場で作られた料理は、トラックに乗せられ飛行場まで運ばれます。

トラックから飛行機に乗せ換えられ、長い空の旅の途中でやっと乗客の手元に届くため、その間の安全性の確保が重要な課題になります。

 

ANACの工場で出来上がった料理はトランクケースのようなものに入れられ密閉されます。

ギャレー

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絶対に誰も触れないように封をしてCAが開封するまで誰も触れないよう厳重に管理されます。

運ぶ際のトラックももちろん密閉され、そのまま飛行機に乗せられます。

 

乗客に幸せを運ぶために、たくさんの人による努力が積み重なっているのです。

そういう苦労を思い起こしながら機内食を食べてみるともっと楽しい旅行になるかもしれません。

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