ミシュランで三つ星を獲得した伝説の寿司職人、小野二郎 (2007年当時82歳)の熟練した技術に「プロフェッショナル仕事の流儀」が密着しました。
一つ星:近くに訪れたら行く価値のある優れた料理
二つ星:遠回りしてでも訪れる価値のある素晴らしい料理
三つ星:そのために旅行する価値のある卓越した料理
地下にある客席10席しかない、トイレは他店と共同の小さな寿司屋「すきやばし次郎」。
その中にすきやばし次郎は選ばれています。
安倍首相がアメリカのオバマ大統領を招き寿司を食べさせたことで話題になりました。

©NHKエンタープライズ
寿司を50年握り続け、今だ毎日自分の技術の改善点はないかを探し求め続ける男の戦いを収めたDVDです。
「プロフェッショナル仕事の流儀」に関する記事
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「プロフェッショナル仕事の流儀」のDVDに関する記事のまとめ
無駄が極上を生む
小野二郎は、毎朝自宅のある中野から職場の新宿まで40分歩いて職場に向かいます。
その手には真夏でも手袋がはめられています。
仕事に大切な手を守るためです。
職場に着いた小野二郎は、お店の開店前に食材の見極めを行います。
魚の種類や状態により一旦寝かせたり、酢や塩でしめること「手当て」を行うことにより食材の味を調節します。
「手当て」を行ったサバを食べて二郎は言います。「生の時は私たちでも食べても分からない。同じように(手当てを)やってみて、握る状態のときに食べてみて決める。そういう無駄をやっている。そうしないとお客はおいしいと言わない。」
二郎の技術
小野二郎が握る寿司が極上である理由の一つに、彼の技術「二郎にぎり」があります。
その技は、時間にして4秒、お客さんの口に運ばれた瞬間にほろりとほどけるやわらかな口当たりを表現するギリギリの固さを握る神業です。
他にもおいしい寿司を提供するために細かいテクニックを盛り込んでいます。
そのひとつが常温のネタ、冷えたネタを交互に出すことでお客の舌に感覚の違いを与え、楽しませることです。
そのためにエビひとつとっても、ゆで時間をお客の口に入る瞬間にちょうど常温になるよう調節します。
小野二郎は、常にお客の表情や食べる時間を観察しながら次に出す寿司のタイミングを計ります。
二郎の生い立ち
小野二郎の生い立ちは、それほど恵まれたものではありませんでした。
昭和恐慌のあおりを受け父の収入が激減、母とともに親戚のお世話になることになりますが、ある日「これ以上は面倒見切れない」と言われ、7歳で料亭に奉公に行きます。
終戦後、板前として働き、いつか自分の店を持ちたいと思います。
独立するなら開業費の少なくて済む寿司屋と考え、25歳のとき江戸前御三家といわれた東京の寿司屋の門を叩きます。
40歳のとき、独立を果たし「すきやばし次郎」を開店します。わずか15坪の店で毎日寿司を握り続けました。
50歳になり、60歳になり、ついには80歳を超えてもまだまだ新しい技術に挑戦し続けます。
「不器用だからこそ2つ3つ多く考える。だから成長する。」と二郎はいいます。
二郎の勝負の日
撮影中に一大イベント、ミシュランの評価が決まりました。
二郎はまた世界最高齢の三つ星シェフとなりました。
そしてもう一つ大イベント、超大物フレンチシェフ、ジョエル・ロブションが二郎の店に食べに来ることが決まります。

©NHKエンタープライズ
ジョエル・ロブションはしばしば二郎の店に訪れており、二郎いわく「あれほど舌に敏感な客はいない。勝負したくなる。」といい、今回の訪問にも熱くなります。
二郎にとっては、自分の腕が衰えていないかを測ることができる相手との勝負の時です。
二郎が真剣勝負で作った料理を食べたジョエル・ロブションは「私の方が二郎さんのレベルに追いつけるようにがんばります。」と、賛辞を惜しみませんでした。
プロフェッショナルとは?その問いに二郎は答えます。
「自分の仕事に没頭してさらに上を目指すこと。」
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