角川書店から出版されている漫画異世界居酒屋のぶは、異世界シリーズの中でもちょっと変わったテイストの漫画です。

©ヴァージニア二等兵/角川書店
異世界シリーズは、現在漫画の一つのジャンルとして確固たる地位を築いています。
今回は異世界居酒屋のぶの人気の秘密を独自の視点で斬ってみたいと思います。
異世界漫画は飽和状態
異世界ものは、原作がライトノベルであることが多いですが、こちらの異世界居酒屋のぶもライトノベルが原作の作品です。
現在、本屋に行けば異世界漫画は、それだけで1コーナーを作れるほどあふれかえっています。
- 転生したらスライムだった件
- この素晴らしい世界に祝福を!
- 賢者の孫
- Re:ゼロから始める異世界生活
- ダンジョン飯
これらの人気異世界漫画とは違い、異世界居酒屋のぶには全く独自の世界観があります。
異世界居酒屋のぶと他の異世界漫画の違い
- 異世界漫画なのにモンスターが登場しない
- 主人公がおじさん
- 常に異世界と現世界を行ったり来たりできる
- バトルシーンがない
- 異世界漫画にありがちな特殊スキルや魔法がない
こんなので異世界漫画を作っても、むしろ異世界感がなくなってしまうような気がします。
しかし、異世界居酒屋のぶは、異世界から「冒険」「バトル」などの要素をあえて取り除くことで新しい世界観を作っています。
普通の居酒屋なのに面白いストーリー
居酒屋のぶがある古都アイテーリアは、気候がめぐまれた地域ではなくあまり良い作物が取れません。
品質のいい麦が取れないので、居酒屋のぶで出す普通のビール(異世界ではエールと呼ばれています)は貴族でも飲めないような良質なお酒としてお客さんから驚かれます。
じゃがいもも古都で取れるものはおいしくないので、居酒屋のぶじゃがいも料理を出すとみんな嫌そうな顔をしますが、食べてみるととんでもない幸福感に包まれます。
和食は世界に誇れる食べ物だ!それは異世界に住む人々にすら感動を与えるものだ!というコンセプトです。
こういう「日本バンザイ感」を出す作品は近年ヒットする傾向にあります。
テレビ番組では「世界が驚いた→ニッポン!スゴーイデスネ!!視察団」「世界!ニッポン行きたい人応援団」など、外国人から見た日本の良さを伝える番組がたくさんあります。
しかし、こういう番組が流行するのは経済が衰退している国で起こりやすいという説があります。
国の成長が止まり、未来に不安を覚える国民が増えると、自分たちの心の安心を求めてこういう番組を見たがるそうです。
外国から見た自分たちはとても幸せで恵まれているんだ、と思いたくてこういう番組を見たがるのです。
異世界居酒屋のぶは、その心理をうまく突いただけでなく、外国を異世界に置き換えることで「日本バンザイ感」を目立たなくしているところがうまいところです。
ちょっと今回の感想は普通の視点とは違う角度からあえて作品を紹介したのですが、そんな難しく考えなくても普通に読んで普通におもしろいマンガです。
異世界漫画に飽きてきたな、という人が異世界から現世界に戻ってくる途中に読むのにちょうどいいマンガです。
異世界系漫画でおもしろかったもの
言語学をテーマにした珍しい異世界漫画「ヘテロゲニア リンギスティコ」
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