音楽と脳の不思議な関係をナショナルジオグラフィックが科学的に調査

脳の不思議 ドキュメンタリー
©ナショナルジオグラフィック社

音楽を聴いたときに脳の中では何が起こっているのか。

人類にとって宇宙よりも未知の領域と言われている「脳」をナショナルジオグラフィックが追いかけた「脳の不思議」を解説します。

神経学者ダニエル・レヴィティンの研究

ダニエル・レヴィティンは元々ミュージシャンでしたが、音楽と脳の関係に興味を持ち、30代で神経学者になりました。

ダニエル・レヴィティン

©ナショナルジオグラフィック社

長年脳の研究をしていましたが、やっと一流ミュージシャンの脳を研究する機会を得ました。

超一流ミュージシャン、スティングが彼の研究に興味を持ち、協力を表明したのです。

スティング

©ナショナルジオグラフィック社

スティングは、1970年代にイギリスで大人気を誇ったバンド、ポリスのボーカル兼ベースです。
まずは、スティングの脳をMRIで解析しながら音楽を聴いてもらい変化を見ます。

ピーター・ジャナタの脳波研究

米カリフォルニア大学のピーター・ジャナタ准教授は被験者の頭に電極を付けて、音楽により脳波にどのような変化があるかを研究しています。
ピーター・ジャナタ

©ナショナルジオグラフィック社

音楽に合わせて体を動かせば動かすほどドーパミンが分泌されることが分かりました。
ドーパミンは脳の興奮物質です。
ドーパミンやエンドルフィンの分泌量を見ることで、その人がどんな音楽が好きかをピッタリと当てることができます。
そして、その人に合った音楽を聴かせることでその人の感情をコントロールすることまでできるのです。

マイケル・マクリーディの音楽研究

話は変わり、脳の研究者から離れて、音楽とテクノロジーの研究を行っている、ある会社の話になります。
マイケル・マクリーディは、プラチナ・ブルー・ミュージック・インテリジェンス社の経営者です。
マイケル・マクリーディ

©ナショナルジオグラフィック社

彼は、過去50年の音楽を、30の要素に分けました。
メロディ、リズム、音域、コード進行などに分けて研究したところ、ヒット曲は60の分類ができ、ヒット予測を行うことができるのです。
この予測によりヒット曲の8割近くを予測できるといいます。

ダニエル・レヴィティンの研究での大発見

ダニエル・レヴィティンスティングの脳をスキャンして、活性化している部分を確認したところ、一流ミュージシャンと一般人に大きな違いがあることが分かりました。
脳梁がとても活性化しているのです。
右脳と左脳で情報が行き来していることが分かります。
一般人は音楽を脳が受け取るときに右脳を使うのですが、一流ミュージシャンは右脳と左脳をバランスよく使っていました
この話を聞いたスティングは言います。
「いいことを聞いた。しかし、これ以上知りたくない気がする。怖いんだ。」
いつか人間の脳の仕組みが全て解明されて、自由自在に才能を発揮できるようになってしまったら、人間はどのようになってしまうのでしょうか。
確かにスティングの「怖い」、という感情も分かるような気がします。

ナショナルジオグラフィックのオススメ記事

コメント