ダブルマリッジは、フィリピンで風俗遊びしている日本人と、日本に来て苦しい生活をしているフィリピン人の人生を描いた橘玲(たちばなあきら)の作品です。
橘玲は、経済の知識が深い作家で、法律の抜け穴を使って経済的な利益を得る人を描く小説が上手です。
橘玲の代表作
- マネーロンダリング
- お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方
- タックスヘイブン
- 永遠の旅行者
- 言ってはいけない残酷すぎる真実
お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方がベストセラーになり、小説家より自己啓発本の作家さんのイメージが強いですが、マネーロンダリングやタックスヘイブンなど、法律と経済を扱った小説は非常におもしろいです。
ダブルマリッジのあらすじ
ある日戸籍に知らない女性の名前が記載されていた桂木憲一(かつらぎけんいち)と、その妻里美(さとみ)、娘の茉莉愛(まりあ:通称マリ)の物語です。
桂木憲一の戸籍届の婚姻欄にはロペス・マリアという名前があり、妻が二人いることになっていることに娘のマリが気がつきます。
さらには、後日戸籍に憲一とマリア・ロペスの子供であるケンという男が記載されてしまいます。
憲一は、全く知らない女性だと主張しますが、これが家族全員を巻き込む大事件へと発展していきます。
ダブルマリッジの伝えたい事
この物語は、フィクションですが日本が持つ国際的な問題を浮き彫りにしています。
第二次世界大戦中、フィリピンにはたくさんの日系人が取り残されました。
その2世となる女性たちが、貧困から抜け出すためにバブル期の日本に出稼ぎにきましたが、フィリピン人はまともな職に就くことができず、風俗業に就かざるを得ない人たちがたくさんいました。
日本人はフィリピン人の風俗をその安さもあり軽い気持ちで利用しています。
日本人のせいで現在でもどれだけのフィリピン人が貧困に追い込まれ、苦しい生活をさせられているのか、その事実を強烈に伝える内容になっています。
現在でもフィリピン女性=風俗という間違ったイメージを持った日本人はたくさんいるのではないでしょうか。
日本人がやってきた歴史の事実を知り、これから何をすべきかを強く考えさせられる小説でした。
コメント