絶滅危惧種トキを救った佐藤春雄・近辻宏帰・席咏梅という英雄

プロジェクトX 幸せの鳥トキ 執念の誕生 ドキュメンタリー
©NHKエンタープライズ

幸せの鳥トキをご存知でしょうか。

薄ピンク色のきれいな羽根を広げて飛ぶ美しい姿は、中国では幸運を呼ぶと言われていました。

toki

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19世紀には数百万羽生息していたトキは、20世紀になると乱獲や森林伐採により一気に死滅し、日本では佐渡島に数十羽の生息が確認できるのみになってしまいました。

プロジェクトX 挑戦者たち 幸せの鳥トキ 執念の誕生」は、トキの人工繁殖に人生をかけた研究者たちの物語です。

このDVDのポイント

  • 中国への無償の技術提供
  • 中国からの恩返し
  • トキが生んだ日中の固い絆の奇跡

佐藤春雄とトキ保護センターの設立

昭和21年、戦果を免れてた佐渡島で佐藤春雄(さとうはるお)27歳は幻の鳥を探していました。

佐藤春雄

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トキはこの頃すでに佐渡島にしか生息しない絶滅危惧種となっていました。

佐藤春雄は戦前教師でした。

兵士として戦争に行ったが生き残り、戦後教師に復帰しましたが、生徒の半数が戦争で死んでいました。

そんなとき、幸せを呼ぶ幻の鳥トキの話を聞いて、ぜひその目で見てみたいと山通いをするようになります。

ある日見たトキは天女のように美しく、佐藤春雄は生きる気力がわいてきました。

その後22羽を確認、保護を訴えました。

国は昭和22年にトキ保護センターを設立しましたが、研究者たちは佐渡島での仕事を嫌がりました。

近辻宏帰とトキの飼育

トキ保護センターが設立されて20年が経ち、徐々に野生のトキが減っていた昭和42年、近辻宏帰(ちかつじこうき)は、自ら志願して佐渡島へ渡ります。

近辻宏帰

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当時24歳、幻の鳥に心を躍らせる若き研究者でした。

ある日、農家の田んぼに野生の子供のトキが迷い込んでしまいました。

トキの子は親がいなければエサが取れず死んでしまいます。

近辻宏帰はこのトキを保護し、自ら育てることとしました。

これが、日本初のトキの人工飼育です。

トキの捕獲

昭和56年、野生のトキは5羽にまで減っていることが確認されました。

国は、この5羽を保護し人工的に孵化させることを決定しました。

この決定は、国民の多くが興味を持つニュースとなりました。

既に野生のトキを育てる経験をしていた近辻宏帰は賛成しました。

佐藤春雄は、トキが住めるような環境に戻すことが先だと考えました。

このとき、二人の関係はギクシャクしたものになり、後の研究に大きな影響を与えます。

昭和56年、そうして野生のトキは全て捕獲されました。

トキの人工孵化への挑戦

捕獲された5羽のトキは、全て7歳以上の高齢、しかもオスは1羽しかいないという絶望的な状況でした。

その頃近辻は、日本で保護した5羽を育てていました。

昭和58年、初めて交尾があり卵を産みました。

しかし、母鳥は巣作りをせず、卵を詰まらせそのまま死んでしまいました。

卵も孵化しませんでした。

全国から近辻宏帰に批判が集まりました。

それほど、トキの人工孵化は全国民から注目を集めていました。

さらに3羽が死亡。

オス、メス1匹だけという状況になってしまいました。

佐藤春雄と中国のトキ

野生のトキの捕獲に反対した佐藤春雄は、既に保護センターを去り、独自のトキ研究を行っていました。

ある日佐藤春雄は、雑誌を読んでいたときに中国で野生のトキが7羽見つかったというニュースを見つけました。

佐藤春雄は、この貴重なトキを守らなければならないと考え、急いで自らの研究成果を中国に送りました。

中国では佐藤春雄の資料を元に国を挙げてトキの保護に乗り出しました。

中国研究者の来日

平成3年、近辻宏帰の元に中国の研究者席咏梅(せきえいばい)が訪ねて来ました。

席咏梅

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日本で初めて人工孵化を行った近辻宏帰から学びたいということでした。

近辻宏帰は、自分の持つ全ての知識を教えました。

中国に帰った席咏梅は、中国で世界初のトキの人工孵化を成功させました。

彼女は

「日本の技術支援がなければ成功しませんでした。」

と言いました。

 

平成6年、中国は、指導のお礼として若い3歳のメスを貸し出してくれました。

しかし、残り2羽になっていた日本のトキのうちオスの1羽が死んでしまい、中国の協力にも関わらず、人工孵化は困難なものとなってしまいます。

再び中国の支援と人工孵化へのチャレンジ

平成10年、皇居に江沢民国家主席が来日しました。

友好の証としてトキの3歳のオスとメスが贈られました。

その3歳のトキを日本に連れてきたのは席咏梅でした。

席咏梅は、「今度は自分が近辻宏帰に恩を返す番だ」と心に決めていました。

しかし、近辻宏帰席咏梅はエサのことで対立してしまいます。

中国では新鮮なドジョウをエサにしていましたが、近辻は、トキの消化器官の弱さを突き止め、小松菜ジュースを与えていました。

席咏梅は、中国にトキ研究のデータを持ち込んだ偉人である佐藤春雄の元を訪ねました。

そこで近辻との対立の悩みを打ち明けましたが、佐藤春雄は、「トキはアジアの大切な鳥です。力を合わせて頑張ってください」と言いました。

席咏梅は、自らのプライドを捨てトキの孵化を成功させようと誓いました。

日本初のトキの人工孵化が成功

平成11年5月21日、ヒナが誕生しました。

近辻宏帰は、産まれたヒナを一番に佐藤春雄に見せました。

佐藤春雄は言いました。

「今まで本当にご苦労様でした。」

長かった二人の関係が修復された瞬間でした。

それからは毎年ヒナが誕生し、順調に数を増やしていきました。

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