池上彰の経済教室 第14~22回は社会主義・中国・石油の講義

池上彰の経済教室 投資・金融・会社経営(DVD)
©池上彰/テレビ東京

池上彰の経済教室」は、ジャーナリスト池上彰が行った経済学の講義全43回と特別講義、課外授業を含めた合計1091分にも及ぶ内容を16枚にまとめたDVDです。

今回は、第14回から第22回までの講義を紹介させていただきます。

池上彰の経済教室 第1回~第13回は戦後・冷戦・高度経済成長の講義

第14~16回 社会主義経済の失敗と教訓

社会主義が生まれた当時は、資本主義の弱点を補う素晴らしいシステムだと考えられていました。

ドイツの経済学者カール・マルクスは著書「資本論」の中で、やがて資本主義は終了し、社会主義による理想的な時代がくると提唱しました。
ソ連などの社会主義国は、その理想的な社会を追い求めました。

しかし、それは極めて人工的なものでした。

ソ連の指導者スターリンが農業を集団化し、サラリーマン化した結果、自身の農場ではない、みんなの所有物である農場にみんな興味をなくしてしまいました。

その結果、災害で被害が起きても誰も畑の様子すら見に行かない状況となりました。

結果、農作物の生産性はどんどん下がり、食糧が不足し、ソ連で大量の餓死者が発生してしまいました。

 

社会主義の失敗の象徴として東ドイツで作られた「トラバント」という自動車の話は、社会主義の失敗をよく表しているおもしろい話です。

ベルリンの壁が崩壊し、西ドイツと東ドイツの車が同じ道路を走ることになったのですが、一方では最新のフォルクスワーゲンが走る横で、排気ガス垂れ流し、段ボールのような内装という車が走っていたのです。

トランバントは、1958年に開発されてから、1990年に至るまで、ほとんど改良されないまま元の形のままで販売され続けたのです。
社会主義では、新しいモノを作ろうという意欲もなくなるので、産業の発展が止まってしまうのです。

この社会主義の失敗を、遠い国で起こったことと無視するのは危険です。

日本の企業は年功序列で給与が上がる大企業はまだまだあります。

結果、仕事をしなくても給料は同じになり、優秀な人がやる気をなくしていきます。

これは、社会主義で起こった失敗と全く同じ道をたどっています。

日本は、かつてソ連のゴルバチョフ書記長から「最も成功した社会主義の国」といわれました。
しかし、現在この社会主義に近い経済制度は崩壊の危機を迎えています。

 

社会主義の失敗の別の例として、北朝鮮の話は有名です。

北朝鮮では金日成による独裁体制となった際に、各農村を回って、稲をもっと隙間を詰めて植えるよう指導します。

金日成は、農業に対する知識が深くありませんでした。
社会主義を導入したにもかかわらず農業が安定しなかった理由は、稲作の方法が悪いと考えてしまったのです。

その結果、稲が不作となり、大規模な飢饉が発生してしまいます。

その他にも金日成は的外れな農業指導を行いますが、誰も逆らうことができず北朝鮮の農業は壊滅してしまいます。

現在でも北朝鮮の農村地域で農作物があまり育たないのは、このときの政策の失敗が大きく影響しているといわれています。

社会主義をただの失敗の歴史として知るだけではなく、その失敗から何を学ぶかが大事なのです。

 

第17~19回 中国の失敗と発展

第17回から第19回までは、中国という国についての講義です。

天安門事件と反日感情

中国の反日のルーツである天安門事件についての講義です。

天安門事件とは、元々は1989年に天安門に人々が集まり経済的な格差是正を訴えたデモでした。

それを中国共産党が軍隊で弾圧した事件です。

この事件を境に中国共産党は、国民に党の正当性を訴えるために、「共産党は日本軍のひどい侵略から国民を守った。だから共産党が国を支配することは正しいことなのだ。」という教育を行います。

現代の中国の若者たちが反日なのは、天安門事件以降の中国共産党の教育が原因なのです。

大躍進政策の大失敗

続いて毛沢東時代の大躍進政策の失敗の話です。

大躍進政策は、1958年から1961年に行われた、中国を工業化により経済発展させ先進国に追い付こうという政策です。
大躍進政策失敗の流れ
  1. 鉄鋼業を盛り上げるために、各家庭に製鉄用の炉を作るよう指導する
  2. そもそも産業が発展していないので耐火レンガがあまりない
  3. 寺院などの歴史的な建造物を壊して耐火レンガを確保
  4. 耐火レンガで炉が出来たが、今度は製鉄の元となる鉄がない
  5. クワなどの農機具を溶かして鉄を確保
  6. 農業が行えなくなり農業生産が激減
  7. 家庭で作った性能の低い炉では鉄工業も発展しない
毛沢東は大躍進政策の他にも、スズメ撃退政策稲敷き詰め政策などの失敗を繰り返します。

文化大革命という悲劇

政策の失敗により失脚した毛沢東は、逆転のため文化大革命を起こします。

文化大革命とは、毛沢東が政敵を失脚させるため、学生運動をあおって暴動を起こさせるという衝撃の事件です。

兵力による虐殺まで行われる世界でも稀にみる暗黒期です。

革命に成功し政権に復帰した毛沢東は、革命軍の暴走が邪魔になり、今度は軍に彼等を鎮圧させたのです。

鄧小平という天才の登場

中国は毛沢東の死後、鄧小平が経済の立て直しを図ります。

生産責任制や、改革開放政策などを用いて自由な市場経済を取り入れることにより中国経済は復活します。

そして、鄧小平は日本の日産工場の視察を行い衝撃を受けます。

ここから一気に資本主義を取り入れます。

ただし、政治面では共産党の独裁体制を維持します。

これが「社会主義的市場経済」です。

鄧小平は、政治は独裁、経済は資本主義という自身に都合のよい部分をうまく組み合わせて中国を大きく発展させました。

第20~22回 石油を巡る地政学

第20回から第22回までの講義は、地理的な情勢によって経済が影響を受ける、いわゆる「地政学」を学ぶ回です。

この講義が行われていた当時は、産油国の政治がとても不安定で石油価格が暴れていた頃です。

政治が不安定になると政府に不信感を持ったものたちが過激な行動を起こし始めます。

ISIS、いわゆるイスラム国による過激派テロが毎日ニュースを騒がせていた時代です。

 

石油価格高騰は、その国の経済だけではなく、当然日本のような石油輸入国にも大きな影響を与えます。

かつて、1973年と1979年に石油価格の高騰から日本でオイルショックという現象が起こりました。

トイレットペーパーの買い占めが起こり、スーパーマーケットからトイレットペーパーが消えるという事件が起こりました。

実際は、石油の輸出が減ったからといってトイレットペーパーがなくなるというのは、いきすぎた妄想なのですが、パニックが広がると人々は冷静な判断ができなくなり買い占め行動に走りました。

石油が輸入されないと困る国がたくさんあることを知ったアラブ諸国は、石油価格の引き上げを行い、これらの国にオイルマネーが一気に流れ込みます。

石油を持つ国と持たない国、石油関係の仕事に関わる者と関わらない者の間で巨大な貧富の差が産まれてしまいました。

 

現代においては、その産油国の状況も大きく変わりつつあります。

シェールガスを採掘する技術が発展したことにより、アメリカが自国で石油をまかなえるようになってきています。

そうなると、アメリカは海外から石油を輸出する必要がなくなりました。

アメリカはイラクへの軍事介入を行わなくなりました。

アメリカが中東の戦争に介入するのは、石油を安定的に手に入れるという自国の利益も大きな要因でした。

アメリカに石油が売れなくなったアラブ諸国は、今度はヨーロッパに対し石油を売り出そうとします。

そうすると、ヨーロッパに石油を打っていたロシアは、日本に対して石油を売ろうとします。

そうすると、ロシアは日本との貿易をうまく進めるため北方領土問題を解決しようとします。

なんと、石油の問題が回りまわって日露の関係にまで影響してしまったのです。

石油は、それ一つで世界地図を塗り替えてしまうほどの力を持っているのです。

オススメの記事

株式投資家に最も読まれている本「賢明なる投資家」の内容を簡単にまとめました

顧客の買い物に関するビッグデータをどうやって集めるか?

双日の商社マンにプロフェッショナル仕事の流儀が密着した

コメント