全てがマニュアル化した世界でしか生きられない「コンビニ人間」

コンビニ人間 小説
©村田沙耶香/文春文庫

「コンビニ人間」は、2016年の芥川賞を受賞した小説です。

累計発行部数100万部を突破する大人気作品です。

「普通」であるということについて「コンビニ」という空間を使って一石を投じた、非常に考えさせられる内容になっています。

コンビニ人間のおもしろさのポイント

  • 人間社会で「普通」でいることの意味を深く考えさせられる
  • 「普通」でいることができない人が「コンビニ」を通してすべての生活をマニュアル化して生きる

著者・村田沙耶香の作品

  • 授乳(2003年群像新人文学賞)
  • ギンイロノウタ(2009年野間文芸新人賞
  • しろいろの街の、その骨の体温の(2013年三島由紀夫賞)

あらすじ

物語の主人公である古倉恵子は、小さい頃公園で小鳥が死んでいるのを手に取り、「焼き鳥にして食べよう」と母のところへ持っていきました。

その事件で、家族は、恵子普通の人間とは違うということに気づきます。

家族は恵子を「治す」ためにカウンセリングに連れていきますが、うまくいかず恵子はそのまま中学、高校と成長していきます。

そして、大学1年生になったときにスマイルマート日色町駅前店というコンビニのオープニングスタッフのアルバイトとして働くようになります。

コンビニの仕事は全てがマニュアル化されたように合理的に動くため、人の感情がうまく理解できない恵子でも、コンビニの歯車の一つとなることでそこにうまく溶け込むことができました。

今まで社会に溶け込めないことに違和感を感じながら生き続けてきた恵子ですが、コンビニという無機質な世界の居心地の良さに心のよりどころを見つけ、日々コンビニ食を食べ、夢の中でもレジを打ち、コンビニという世界の歯車になり暮らすようになります。

そして、コンビニバイトを続けたまま18年が過ぎました。

しかし、36歳になり独身でコンビニでアルバイトをし続けている女性を、世間は少し不信に思います。

同僚との何気ない会話の中にも家庭や子供のことが増え、恵子は、またしても「社会」というものの難しさに直面します。

そこに現れたのが、新たにスマイルマート日色町駅前店のアルバイトとしてやってきた白羽という男です。

白羽は結婚相手を探すために、女性客にストーカーまがいの行為をしていました。

白羽は「不完全」な社会が嫌いで、そこから自分を隠すために結婚相手を探していました。

利害が一致した恵子白羽は結婚したことにして奇妙な同棲生活を始めます。

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