141kmの南米パタゴニアの険しい山岳地帯を不眠不休で走る世界一過酷なタイムレース。
そのレースを走る一人の日本人、鏑木毅(かぶらきつよし)をNHKが追いかけた「神の領域を走る パタゴニア極限レース141km」を紹介します。

©NHKエンタープライズ
パタゴニア極限レースとは
パタゴニア極限レースの正式名称は、「ULTRA FIORD(ウルトラ・フィヨルド)」です。
未舗装の山野を長距離走る「トレイルランニング」という種目の一つです。
2015年に第一回大会が開催されました。
第一回大会では参加者33人中、完走できたのが10人という過酷さでした。
今回紹介する「神の領域を走る」は、2016年第二回大会で、参加者は91人に大きく増えました。
パタゴニア極限レースのコースの概要
スタートはパタゴニアの南部、プエルトナタレスの街から車で2時間ほど離れた農家です。

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鏑木毅とは
今回NHKが追いかけたトレイルランナー鏑木毅は、パタゴニア極限レースに参加した2016年時点で47歳です。
世界中の数々のトレイルレースで活躍する日本のトレイルランの第一人者です。
世界中のトレイルランナーからの知名度も高く、今回の撮影でも海外の選手から撮影を依頼されている姿が映ります。
- 2009年「ウルトラトレイル・デュ・モンブラン」3位
- 2009年「ウエスタンステイツ100」準優勝
2014年のレユニオン島での160kmレースで不整脈でリタイアの経験があり、今回途中リタイアとなれば引退する覚悟でレースに臨みました。
レースの展開(ネタバレあり)
35km地点
35km地点、最初のチェックポイントでいきなり波乱が起きます。
63km地点

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その頃1位のトーマスは鏑木毅の2km先を進んでいました。

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86km地点

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97km地点
97km地点での補給ポイントをトップで通過したのもトーマス。
2位で通過したのは鏑木毅。
トーマスとの差は山のくだりで1分縮まっていました。
108km地点
スタートから14時間、鏑木毅は108km地点に到達していました。
体中に筋肉の激痛を抱え、地獄を味わっていました。

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120km地点
そして、残り20km神の領域に突入です。
疲労の限外を感じた脳が体にストップの指令を出すのを無視して走り続けます。
鏑木毅は、目の前が暗くなり、朝なのか夜なのかも分からず、自分の意識があるのかないのかも分からないまま走り続けます。

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そこで、鏑木毅は突然不思議な感覚に陥ります。
斜め前を誰かが並走しながら応援してくれているような、そんな感覚です。
ゴール地点
そして、トーマス・エルンストが17時間41分で1位でゴールします。
51歳にして初めて大きな大会で優勝するという快挙でした。

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そして、18時間53分、鏑木毅が見事2位でゴールします。

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「人間の限界は自分が思うよりまだまだ先にある」勇気を与えてくれる映像です。
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