DVD「リーマン予想 天才たちの150年の闘い」は、数学の世界に数ある難問の中で、最も難しく、最も重要だといわれているのが「リーマン予想」に挑戦している男たちの物語です。
「リーマン予想」の内容自体は非常に難しいものですが、このDVDでは、素人でも分かるように簡潔にポイントに焦点を当てて説明してくれています。
オススメポイント
- 素数の不思議とリーマン予想の歴史が学べる
- リーマン予想に挑戦し壊れていった数学者たち
- リーマン予想が解けると世界世界征服できる
リーマン予想とは?
リーマン予想はドイツの天才数学者ベルンハルト・リーマン(1826~1866)が西暦1859年に出したものです。

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リーマン予想は、素数の並び順に関する数学的な予想です。
「ゼータ関数の非自明なゼロ点はすべて一直線上にあるはずだ。」というものです。
リーマン予想を解くことができれば不規則な素数の並びに意味を見出すことができると言われています。
数とは何かという、数学の根源に関わる問題といわれ、リーマン予想が解ければ数学の一つの時代が終わるともいわれます。
「素数」の並びには何か宇宙の根本的な問題を解決する計算式が隠れていると数学者たちは予想しています。
リーマン予想が解けると世界を支配できる
現代社会のインターネットの暗号技術は、素数が元になっています。
これは、素数の並びが不規則で、誰にも証明できないことから強固な暗号となっています。
リーマン予想が解明されてしまえば、どんな大きな数字の素数でもすぐに計算できるようになるため、インターネットの暗号技術を破ることができます。
インターネット上にあるすべての情報が丸裸になってしまいます。
そこで、暗号会社は優秀な数学者を雇い、世界中のリーマン予想に関する論文を解読しています。
素数が世界の根源と呼ばれた理由
素数と円周率がつながった
素数が無限に続くことは古代ギリシャの時代から知られていました。
レオンハルト・オイラー(1707~1783)は、素数の謎に取りつかれた数学者の一人です。
まずは、誰も見つけていない大きな素数を探すところから始めました。
オイラーは素数が自然や宇宙の根源に関わると予想しましたが、周りの人々は信じませんでした。
オイラーは素数だけを使った数式で、円周率を表わすことに成功しました。
これは世界中の数学者たちに衝撃を与えました。
これにより、素数はただの無秩序な数字の並びではないと考えられるようになりました。
素数と自然対数がつながった
カール・フリードリッヒ・ガウス(1777~1855)は、少年時代に1~300万のあいだにあるすべての素数を発見した天才です。

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ガウスは素数が自然対数表と関連があることに気づきます。
自然対数表は、かたつむり、台風、銀河などのらせんに関するものです。
らせんの内側から次のらせんへの距離とらせんの巻き数を表わしたものです。
これにより円周率πと自然対数の定数eという数学界で最も重要な2つの定数に素数をとおしてつながりができました。
リーマンの登場により数学の最終目的地が決まった
その後で登場したのがベルンハルト・リーマンです。
リーマンは素数の並び順の法則を解明するために、ゼータ関数という数式を見つけます。

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このゼータ関数から導かれる数値がゼロになる点がどこに現れるのかを計算したところ、その位置が同じ直線上に規則的に並んでいることに気が付きました。
リーマンは、すべての素数がこれに当てはまるのではないかと考えました。
しかし、リーマンは自信の予想を証明することはできませんでした。
これにより「素数の並びに意味はあるか?」という数学の問題が「ゼータ関数の非自明なゼロ点はすべて一直線上にあるか?」という具体的な形に変わることになります。
リーマン予想の解明に人生を捧げ壊れていく数学者たち
ジョン・リトルウッドとゴッドフレイ・ハーディ
20世紀に入り、ジョン・リトルウッドとゴッドフレイ・ハーディという若いコンビは二人でおよそ100本もの論文を発表し数学界の革命児という扱いを受けました。

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ハーディは自信満々でリーマン予想に挑戦し、一直線上に無限のゼロ点があることを証明しました。
しかし、これは完璧ではありませんでした。
大切なのは、「全てのゼロ点が一直線上にあること」で「一直線上に無限のゼロ点があること」ではないのです。
直線上以外にゼロ点がないことの証明にはなっていなかったのです。
自分たちの数学者としての挫折を味わったジョン・リトルウッドとゴッドフレイ・ハーディは、リーマン予想が元々間違っているため証明が不可能なのだといいました。
ジョン・ナッシュ
ブリンストン大学元教授のジョン・ナッシュ博士は、全く新しいアイデアでリーマン予想を解こうとしました。

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リーマン予想が完全に正しい都合の良い世界を数学的に作り出し、現実の数学世界と地続きであることで証明を行おうとしました。
しかし、ナッシュ博士はリーマン予想のあまりの難しさに統合失調症になり、その後30年も苦しめられることになります。
当時天才と呼ばれたナッシュ博士をもってしてもリーマン予想が正しいのかどうかさえ分からず、自身を追い詰めることになってしまいました。
これによりリーマン予想は世界中の数学者から恐れられるようになってしまいました。
アラン・チューリング
アラン・チューリング博士は、第二次世界大戦中にドイツ軍の暗号「エニグマ」を解明したイギリスの人物です。

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彼がいなければ連合国側の勝利はなかったともいえるほどの天才です。
そんなアラン・チューリングは、リーマン予想が間違いであることを証明しようと、研究に乗り出しました。
ゼロ点のうち、一つでも直線上から外れたものを見つけることができればリーマン予想は間違っているといえます。
エニグマを解読したときと同様に、巨大なコンピューターの計算機を作りました。
しかし、チューリングの計算機は、直線上以外のゼロ点を発見することができませんでした。
チューリングは、2年後青酸カリを飲んで自殺してしまいました。
これらの事件から「リーマン予想に立ち向かうのは自殺行為だ」といわれるようになりました。
ルイ・ドブランジュ
1960年代、リーマン予想を恐れ数学者たちが敬遠する中で、あえて挑戦したのがルイ・ドブランジュ博士です。

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ルイ・ドブランジュ博士は、ビーベル・バッハ予想という難問を解いたことで数学界に衝撃を与えた人物です。
そんな天才が満を持してリーマン予想へ挑戦しました。
しかしルイ・ドブランジュ博士は3度に渡りリーマン予想を解いたという発表を行いましたが、そのたびに欠陥が見つかり批判されました。
非可換幾何学によりリーマン予想が大きく発展
1970年代になり、新たな学問である量子力学が大きな発展を見せ、ゼータ関数のゼロ点の間隔の数式は、ウランなどの重い原子核の間隔を示す数式と全く同じものであることが分かりました。
これにより素数と量子力学に大きなつながりが生まれました。
数式上は同じであることが証明されたので、ゼロ点の間隔とぴったりと同じ原子が存在するはずだ、という研究が始まります。
数学者と物理学者が一斉に集まって研究が行われることになりました。
その会議の場で、天才数学者アラン・コンヌ博士は自身が研究している非可換幾何学という最新の分野と、物理学者たちが研究している空間の分野が同じであるということに気が付きました。

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それによりアラン・コンヌ博士は、非可換幾何学がリーマン予想の解明に重要な役割を果たすカギになると気が付きました。
それ以降、非可換幾何学を使って素数を証明する動きが世界中で広がっています。
万物の理論を証明することを目指し、今でも世界中の科学者が「リーマン予想」に挑み続けています。
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