つぶれかけの町工場で必死に開発を行い、17年をかけて執念で新製品を作り上げ、世界中の度肝を抜いた、まるでドラマのような実話があります。
「プロフェッショナル仕事の流儀 町工場経営者 竹内宏の仕事~独創力こそ、工場の誇り~」は、品川の旗の台の商店街の脇にあるトタン屋根の古い町工場を経営する一人の男、竹内宏にスポットをあてたものです。

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竹内宏の仕事
竹内宏の経営する町工場は、プラスチック部品を作るための金型づくりがメインの仕事です。
厚さ0.1ミリの精密部品を顕微鏡を見ながらチェックするほど精密な金型です。
たった6人の職人が働いている小さな工場には、その精密な技術を頼りにして毎日のように大企業からの相談のメールが届きます。
過去に世に出した超小型射出成形機は、小さなプラスチックのパーツが卓上で作り出せる、これまでの大型機械の常識を覆したサイズです。

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竹内宏が斬新なアイデアの生む秘密
- 塩漬けにして時間を置いて考える
- つねに頭の「引き出し」から出し入れすることでアイデアが出てくる
- 自分の知らないことを知っている人をたくさん知っている
撮影中に開発していた最新機器
撮影中は、超小型射出装置の開発中でした。
プラスチック成形では二色成形が基本でしたが、そこに風穴を開けるための開発です。
超小型射出装置が完成すれば、金型に直接二色目を射出でき、二色を別々に成形するより大きく効率化できます。
自らを追い込む
開発段階のアイデアでも機会があると売り込みをして回ります。
開発中の装置の設計図を見せて、できますよと言い切ります。
そうすることにより、自らを追い込み、必ず開発を完成させるモチベーションを高めています。
倒産の危機から執念の大逆転
竹内宏は父親が金型工場で働き始めたのをきっかけに中学2年でものづくりに目覚めます。
高校卒業後、金型を作る工場に就職し、27歳で独立します。
独立後の仕事は順調で大手企業からひっきりなしに仕事が入り順調でした。
しかし、独立から12年目、日本に強烈な円高が発生し、金型産業が、人件費の安い海外工場へどんどん移転されていきました。
竹内宏は、仕事をもらうために、金型をもっと使いやすくすればいいのではないかと考えました。
それまでは大きな金型は100kg以上あったものを、小さな鉄のプレートにすることに成功しました。
次はプラスチックの成型機の小型化に挑みます。
そんな中、90年代の不況により金型工場が次々に倒産していきました。
竹内宏の工場でも従業員の給料を下げざるを得ず、半数の従業員が去っていきました。
昼も夜もなく設計図とにらめっこし、開発を始めて17年後、プラスチックの成型機が完成しました。
従来の20分の1の小ささ、10分の1の消費電力。
成型機は一気に売れ、工場は持ち直しました。
竹内宏の名言
「賃仕事で得た100万円の利益と自社製品で得た10円の利益なら、10円の利益の方が価値が高い。」
「これで引き下がるわけにはいかない、その思いが信念につながっていく。」
プロフェッショナルとは?この質問にはこう答えました。
「媚びないこと、群れないこと、属さないこと、それとやめないこと、これができる。やめない、あきらめない、これができる方ではないかと思っています。」
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