東京都羽村市にある、何の変哲もない普通のスーパーマーケット福島屋。
なぜかいつも大盛況でお客さんが絶えません。
2011年に放送された「プロフェッショナル仕事の流儀 食品スーパー経営者 福島徹の仕事〜信頼は、己の全てでつかみ取る〜」のDVDから、福島屋の経営者福島徹(ふくしまとおる)のスゴ腕経営の秘密を探ります。
「プロフェッショナル仕事の流儀」に関する記事
プロフェッショナル仕事の流儀のDVDは、他にもたくさん記事を書いていますので、ぜひご覧ください。
「プロフェッショナル仕事の流儀」のDVDに関する記事のまとめ
オススメポイント
- 小さな小売店がどうやって生き残っていくのか
- 名経営者の若き日の失敗
- どうやって食品の目利きを行っているのか
- お客さんに信頼される秘訣
福島屋のすごさ
福島屋は東京郊外にある普通のスーパーですが、客が殺到します。

©NHKエンタープライズ
都内で4店舗を経営する中小企業です。
一切チラシ広告は行いませんが、40年間黒字経営という驚異的な経営です。
福島徹のすごさ
福島屋の経営者、福島徹は全国を飛び回り新鮮な食料を探す、食品業界のトレジャーハンターといわれています。

©NHKエンタープライズ
店舗には全国から集めた無農薬の野菜の他に、素材にこだわったオリジナルの醤油やのりが並びます。
ある大根農家では、形が悪くて捨てるしかなかった大根を福島徹の提案により、無農薬の切り干し大根として蘇らせました。
今では年に100万円を売り上げる人気商品です。
福島徹は、店舗に置く食料を探すときに、においを大事にします。
「風味や鮮度はごまかせてもにおいはごまかせないから」と言います。
また、定期的に主婦を集めて自分が選んできた食料に関する意見を求めます。
そうすることにより、自分の目利きにズレが出ていないか確認します。
福島徹は仕入を決定するときに、品質、価格の他に、生産者の愛情を大事にします。
情熱を客に伝えれば物は必ず売れる。それが信念です。
若い頃の失敗
福島徹は、昭和26年、東京に生まれました。
実家が経営していた材木問屋がつぶれ、貧しい子供時代を過ごしました。
実家では、その後、雑貨屋をはじめ、福島徹は跡を継ぐことになります。
34歳のときに銀行から大きな融資を受けて2号店を作ります。
しかし、周辺にはライバル店があります。
開店セールが終わると客足が遠のきました。
焦った福島徹は、毎日市場に行き1円でも安く仕入れられるよう交渉します。
そして店舗に戻った後は夜中まで商品棚を直します。
それでも客足は戻ってきませんでした。
当時を振り返り「お客様に否定されているようで、顔を見るのが怖かった。」と言います。
格安の仕入に成功したが、心が晴れない
経営の危機にさらされているときに、近所の農家から、ほうれん草の販売先を探していると聞きます。
全てのほうれん草を無料同然で買い上げ、目玉商品としてセール価格で売り出します。
あっという間に売れました。
数日後、スーパーに来ていた生産者に声をかけられます。
「うまく儲けたな。」
自分がやったことは正しいことだったのか、疑問が生まれました。
客と生産者に両方喜んでもらえる仕事
ある日、米を購入したお客から「新米ではなく古い米が混ざっている」という苦情がきます。
本当に新米なのか、仕入れた自分すら分かりませんでした。
こんな商売のやり方ではダメだと気づきました。
福島徹は、直接山形の農家へ向かい、信頼できる米を探しました。
当時はまだ米の産直制度がはじまったばかりで、農家も購入者を探していました。
福島徹は、山形のある農家の米を買ってくれる購入者を集めました。
生産者と客をつなげただけで福島屋には、ほとんど利益はありませんでした。
しかし、後日お客様からおいしかったという反響をたくさんいただきました。
さらに、農家からも「初めての産直のお客様を見つけてくれた」と感謝されました。
儲けはなくていい、こういう仕事をしていきたいと思いました。
これがトレジャーハンター福島徹の原点になりました。
東日本大震災の風評被害
撮影当時の2011年は、東日本大震災の直後で、原発事故の影響により、福島県産の農作物というだけで、放射能汚染があるのではないかと消費者から敬遠される異常な事態でした。
そんな中、福島屋で仕入れていた米農家の収穫前の稲穂から微量の放射線が出てしまったという報告を受けます。
社員たちの会議の場で、福島徹は、みんなの反対を押し切り、食品業者の使命として風評被害と戦うことを宣言しました。
仕入れる米に、自分たちで3重のチェックを設け、安全度を徹底的に確認したうえで店舗に並べることにしました。
店舗に並べるPOPには徹底的に安全確認を行っていることをアピールしました。
それでもお客さんが受け入れてくれるのか不安でした。
朝、お店の売り場には福島県産の米を手に取るお客さんたちの姿が。
「この店の商品は信頼してますので。」
ありがとうございます。福島徹の顔がほころびました。
福島徹の名言
「売れそう?と考え始めると売れそうなものばかり探すことになる。結果としてお客様が買ってくれる。お客様に役に立つものを考えなければいえない。」
プロフェッショナルとは?この質問に対して福島徹は次のように答えました。
「どんな状況でも楽しさを見出し、純粋な心でこつこつと、ひとつひとつ積み上げていける根気力の持ち主だと思います。
「プロフェッショナル仕事の流儀」に関する記事
プロフェッショナル仕事の流儀のDVDは、他にもたくさん記事を書いていますので、ぜひご覧ください。
「プロフェッショナル仕事の流儀」のDVDに関する記事のまとめ
コメント