「あやしい投資話に乗ってみた」投資の実体験を語った良書

あやしい投資話に乗ってみた 投資・金融・会社経営
©藤原久敏/彩図社

あやしい投資話に乗ってみた」は、ファイナンシャルプランナーの藤原久敏が、あやしいお金儲けの話に自らのお金を突っ込んでみた感想をまとめた、ノンフィクションです。

結論を簡単にまとめ

  • 未公開株はグリーンシートの取り消しで紙くずになった
  • 和牛オーナーは破産する前に事業の危うさに気付いて解約
  • 海外ファンドはリーマンショックの暴落で損失
  • 高金利の銀行は預金保険制度の対象なら1000万円までは保証される
  • FXは南アフリカランドの暴落で強制決済

未公開株を買ってみた

まずは、未公開株を買ってみた話です。

未公開株とは、まだ上場していない、普通の取引所では取得できない株のことです。
将来、株式市場に上場されたときには、莫大な利益になります。

藤原久敏は、グリーンシート市場という未公開企業専用のマーケットで証券会社を通じて、仙台にあるソフトウェアの開発会社を10万円分購入しました。

その会社は、いつのまにか牡蠣のネット販売会社に事業内容を変更し、最終的にはグリーンシートの取り消しを受けてしまいます。

その社長が取引できなくなった株を3万円で買い取ってくれたため、損失は7万円になりました。

その他にも5社、グリーンシートでの未公開株を購入しますが、そのうち4社はグリーンシートの指定取り消しになり、残り1社も価格が暴落し、塩漬け状態になってしまいました。

和牛オーナーになってみた

次にマネー雑誌の広告で見つけた和牛オーナーに挑戦です。

肉牛になる子牛に複数の投資家で投資し、毎年配当をもらい、成長して無事出荷されれば元本が戻ってくる制度です。

30万円の投資を行うと、年間9000円の配当がもらえ、2年後に元本が返ってきます。

他にも契約期間中には農産物が送られてきたり、ギフトカードがもらえたりします。

これが、日本最大級の詐欺事件ともいわれた、安愚楽牧場の和牛オーナー制度でした。

藤原久敏は30万円の投資を行いますが、途中で、本業の畜産売上が下がっていることに気が付いて解約を行いました

そのわずか4か月後に安愚楽牧場は倒産してしまいます。

当然そのときに投資していた人は投資金額が丸損という結果になってしまいました。

破産直前にはオーナーからの投資金の9割が配当や解約金に当てられているという惨状でした。

そして、オーナーの数より、畜産していた牛の数の方が少なく、完全な詐欺事件だということが発覚しました。

海外ファンドを買ってみた

ファンドというのは、複数の投資家からお金を集め、それをまとめて運用する商品のことです。

投資信託もファンドの1つです。

海外ファンドというのは国内未登録のファンドを指します。

藤原久敏は、いろいろな説明会に参加した結果、キャピタル・パートナーズ証券が扱っている海外ファンドに25万円を投資してみます。

当時の世界中のファンドは平均で年率13%という成績でした。

藤原久敏が投資を行ったのは、出来たばかりのファンドでまだ実績はありませんでした。

購入の翌年にリーマンショックが起こりファンドの価格は暴落してしまいました。

その後の根気強く持ち続け、8年間保有した結果、購入時の3分の2くらいの価格で何とか処分することができました。

超高金利の銀行に預金してみた

日本振興銀行という金融機関に年利1.9%という高額の利息が付く定期預金があったので200万円預けてみたという話です。

日本振興銀行は、2004年に開業した、通常の金融機関では借入ができない中小企業向けの銀行です。

結局この銀行は2010年に破綻しますが、預金保険制度により預けた200万円は無事に戻ってきました。

 

FXで新興国通貨に投資してみた

FXで南アフリカの通貨「ランド」に投資した話です。

藤原久敏が投資を行った2010年頃、200万円預けると、1か月で6万円の金利(スワップ)が受け取れていました。

これは、年率にして36%という、とんでもないリターンでした。

しかし、2008年にリーマンショックが発生したことで、強烈な円高が進みランドの価値が暴落。

世界レベルでの不景気が発生すると、安全資産の日本円に世界中からお金が集まり、円高が起こります。

200万円の証拠金はあっという間に底をつき強制決済となってしまいました。

それまでの金利で50万円ほど儲けていたので、結果的には150万円の損失となりました。

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