「盲導犬クイールの一生」という映画をご存知でしょうか?
多和田悟(たわださとる)は、そのクイールを育てた盲導犬訓練士です。
彼の54歳当時の仕事を2007年に「プロフェッショナル仕事の流儀 盲導犬訓練士 多和田悟の仕事」が追いかけました。
その内容を元に彼のすごさを紹介したいと思います。
多和田悟とは?
多和田悟は、盲導犬訓練士として、盲導犬を育てているかたわら、横浜にある日本で唯一の盲導犬訓練士を育てる学校の責任者でもあります。
多和田悟は、国際盲導犬連盟の査察委員に日本で唯一指名されています。
盲導犬訓練士の仕事とは?
盲導犬の役割は主に次の3つです。
- 段差や曲がり角で止まる
- 障害物をよけ、安全に誘導する
- 危険を察知して止まる
これらの役割ができるように、半年から1年をかけて犬を訓練します。
多和田悟独自の訓練
番組撮影時は、ちょうど犬にハーネスを持って来させる訓練を行っているところでした。
多和田悟が教える学生たちは、なかなかハーネスを拾ってこない犬に苦戦していました。
多和田悟は、ハーネスではなく、手袋を投げて拾って犬に来させる遊びを始めます。
犬が手袋を持ってくると多和田悟は、大げさに褒めます。
犬は嬉しそうに尻尾を振り、何度も何度も同じ遊びをします。
手袋をハーネスに代えて多和田悟が投げると、犬はそれを嬉しそうに持ってくるようになりました。
犬をほめるテクニック
多和田悟が訓練中に犬によく使う言葉が「グーッド」です。
とにかくほめまくります。
行動を起こした瞬間に褒める、このタイミングが大切です。
褒めて育てた犬は、楽しんで仕事をするので、人の人生も楽しくなります。
多和田悟の若き日の苦労
多和田悟は敬虔なクリスチャンの家庭に生まれました。
一人の牧師が全盲で盲導犬を連れていたのを見て盲導犬に興味を持つようになりました。
22歳で盲導犬訓練学校に入りました。
命令に忠実に従う犬を育てるため、厳しくしつけました。
ある日、多和田悟が訓練した犬を使ったお客さんから、「あなたの犬は使えない」と言われてしまいます。
最初は、使う側の問題だと考えたのですが、その後も、犬に関する苦情が続き多和田悟は自分の訓練に悩むようになりました。
盲導犬先進国のイギリスへ親に金を借りて渡りました。
イギリスでは、盲導犬むきの血統を選び、専用に育てられていました。
何より、人と盲導犬が楽しそうに歩いていました。
彼らは、犬を歩行の補助具ではなく家族の一員だと考えていました。
多和田悟は、イギリスでの経験から、命令に服従するだけでなく、人生のパートナーになれる犬を育てたいと考えるようになります。
試行錯誤をしているうちに、犬は厳しく育てなくてもちゃんということを聞くことが分かりました。
多和田悟の言葉
「人間は犬よりきっちりと動機付けしないといけない。情熱、志を持つのは彼ら、燃やし続けさせるのは僕ら。」
プロフェッショナルとは?の質問には次のように答えました。
「自分自身の生きる上での信念を持っている人。だから具体的にはブレていいんです。ブレても帰るところを持っている人がプロフェッショナルだと思います。」
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