「東京スカイツリー 世界最難関への挑戦」は、東京スカイツリーの建築開始の2008年から、完成した2011年3月18日までの工事の様子をNHKが追いかけたドキュメンタリー作品です。

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鉄骨で634メートルもの高さの建造物を作るのは世界でも前例のない困難な工事でした。
土台の組み立て
まずは土台部分のを塔体を完成させます。
2.3メートルの巨大な鉄骨が足元を固めます。
その上を立体パズルのように鉄骨が積み上げられていきます。
組み上げる鉄骨は、わずかな誤差でも上に積み上がっていったときに大きなズレになります。
そのためミリ単位で積み上げが調整されます。
使われる鉄骨の接合部分は、角度は0.1度単位で調整されました。

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そして、495mの高さの塔体が完成しました。
既に333mの東京タワーをはるかにしのぐ高さです。
この、495mの場所、通称「ヨンキューゴ」が、ここから上を作っていく作業場になります。
ゲイン塔の建設
塔体部分が完成すると、次はタワーのアンテナ部分にあたるゲイン塔を組み立てます。

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500m以上の高さになると溶接作業ができないため、ゲイン塔は地上で作られて、ワイヤーで釣り上げていきます。
溶接用の金属を鉄に落とすときにシールドガスで守りながら行うのですが、風でシールドガスが吹き飛ばされてしまうと溶接金属に不純物が入り穴だらけになってしまいます。

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大問題が発生
作業中、塔体の中で宙づりになっているゲイン塔を安定させるために転倒防止装置がゲイン塔を抑え込んでいます。

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ところが、この転倒防止装置の中心がゲイン塔の抑えるべき位置から10cm近くズレていることが発覚しました。
つまり、ゲイン塔が回転してしまっていたのです。
これ以上ゲイン塔が回転すると転倒防止装置が外れ、ゲイン塔が倒れてしまう可能性があります。
風で回った説や、ゲイン塔がまんまるではなく少しだ円になっているため転倒防止装置が斜めに力を加えてしまった説など、色々な原因が話し合われました。
しかし、結局原因は分からないままでした。
そこで、ゲイン塔が回らないようにガイドストッパーを開発して取り付ける案が進められます。

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これが、見事に成功します。
回りそうになるゲイン塔をガイドストッパーが抑えつけて、見事に回転を止めました。
いよいよゲイン塔を頂上まで伸ばす作業に取り掛かることができます。
東北大震災が発生
ゲイン塔の工事が着実に進み、600mを越えた2011年3月11日、最大のピンチが訪れます。
東日本大震災の発生です。

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高所で作業することに慣れた命知らずの作業員たちが、「ヤバイヤバイ」と慌てる様子から、塔の上がどれほど揺れていたのかが分かります。
塔の頂上付近では最高で4~6mほど塔が揺れ動いていたといわれています。
急いで避難を行ったため作業員たちは全員無事でした。
そして、地震が収まったあと、スカイツリーは見事に立ったままでした。
スカイツリーの耐震性が証明されました。
スカイツリー完成
東日本大震災の後、余震発生に備え、工事が一時中断されました。
地震の被害がないか、細かく調査が行われましたが、全く問題がなかったことが分かりました。
そして、3月18日、最後のリフトアップ工事が行われます。

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見事、世界最高634mに到達します。
はじめて頂上から見る世界に作業員たちは、「地球が丸いことが分かりますね。」と笑顔になりました。
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瀬戸大橋は完成までに10年かかった壮大な工事。「プロジェクトX」より
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