太平洋戦争当時、世界最高の戦闘機と呼ばれた日本の「零戦」は、日本軍の主力戦闘機として開戦から終戦までの5年間を戦い続けました。
太平洋戦争が終結するまでの間に日本軍では、10000機が作られました。

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参考資料NHK「零戦 栄光と悲劇の航跡」DVD
零戦の開発開始
1937年、盧溝橋事件のときに零戦の開発が始まりました。
山本五十六は、航空技術が今後戦争を左右すると考えて、国産戦闘機の開発に力を入れました。
ほどなくして、九六式艦上戦闘機が完成します。
日本軍はさらなる改良を進め、空気抵抗を減らすため車輪を翼に収納できる零戦が完成しました。

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零戦の衝撃の性能
零戦は、夢の世界であった10000メートルの上空への移動を可能にしました。
零戦は、漢口から重慶という往復1500キロもの距離を飛び中国軍に大きな打撃を与えました。
しかし、その時から軽量化による防御力の弱さが指摘されていました。
太平洋戦争へ突入
1941年12月8日、真珠湾攻撃が行われます。
当時、真珠湾攻撃は大成功であったと報道されましたが、パイロットたちは撃破した戦艦の中に航空母艦が1隻もなかったことに動揺を覚えたといいます。
真珠湾攻撃がそれほどの成果を得ることができなかったのと同時に、アメリカでは実際に真珠湾で零戦の性能を確認し攻略法を必死で探ります。
アメリカは零戦に背後に付かれたときの対応法として、サッチ・ウィーブという戦法を編み出します。
ミッドウェー海戦による大敗
そして、1942年6月5日、いよいよミッドウェー海戦に入ります。
日本軍は真珠湾で果たせなかったアメリカ軍の空母を破壊することを目指します。
しかし、アメリカは日本の暗号を解読し、日本軍に猛攻を仕掛けます。
日本はアメリカの空母1隻を沈めるのと引き換えに、空母4隻全てを失いました。

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アメリカ軍が零戦を手に入れる
ミッドウェー海戦と時を同じくして、アリューシャンでの海戦が行われていました。
アメリカ軍は、その戦いで、不時着した零戦を1機手に入れることに成功します。
その零戦を修理し、徹底的に調査を行います。
その結果、零戦はアメリカ軍の戦闘機より高性能であることが分かりました。
しかし、いくつか弱点を見つけました。
- 420キロ以上のスピードでは運動性能が落ちる
- 軽量化されているため急降下できない
そして、零戦と戦うための作戦を徹底します。
- 零戦と1対1で戦ってはいけない
- 零戦に攻撃を仕掛けられたら急降下する
ガダルカナル島の攻防
ガダルカナル島の飛行基地が奪われ、戦局が大きく傾きました。
ガダルカナル島の近くにあったラバウル要塞には日本軍9万人がいました。
ガダルカナル島とラバウルは1000キロしか離れていないため、ガダルカナル島の奪還が、制空権を取り戻すための日本軍の必須事項となりました。

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しかし、アメリカ軍のラバウル攻撃により山本五十六連合艦隊司令長官が死亡します。
搭乗員不足
零戦は、その軽量化のため防御力が圧倒的に弱く、1発銃弾を受けるだけで搭乗員が死亡してしまいました。
そのため、日本軍はパイロット不足に悩まされるようになります。
予科練を作り、次々と若いパイロットを養成していきます。
アメリカの新型戦闘機
アメリカでは、F6Fヘルキャットという戦闘機が完成しました。

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防弾板があらゆる場所に貼られ、強度な防御力を持ち、零戦より2倍も重いのにもかかわらず、最新のエンジンを積んでおり、最高速は零戦よりも速いという驚異の性能でした。
敗戦へ
山本五十六の死後のラバウルでは、アメリカ軍の猛攻を受けていました。
まともな補給を受けられないラバウルではガソリンが手に入らなくなります。
そのため質の悪いガソリンを載せた零戦はまともな飛行を行えなくなってしまいます。
サイパンの陥落
1944年6月、マリアナ沖海戦が始まります。
この海戦に敗れると、サイパン島がアメリカ軍の手に落ちてしまいます。
サイパン島は、小笠原諸島のすぐ南にあり、ここがアメリカ軍の手に渡れば、日本は直接本土を攻撃されることになります。
アメリカの最新レーダーにより日本軍の位置は丸わかりでした。
日本軍は一方的な攻撃を受け壊滅状態となりました。
空母3隻と戦闘機のほとんどを失いました。
その後の零戦の運命
爆撃機のほとんどを失ってしまった日本軍は、戦闘機である零戦に大型の爆弾を積んで出撃するようになります。
重い爆弾で機動力を失った零戦は、敵機の攻撃の的になりました。
そして、神風特別攻撃隊ができます。
零戦に乗って敵艦へ自ら突撃する「特攻」です。
アメリカ軍が発見した零戦の弱点のとおり、零戦はその軽さゆえに急降下することができません。
特攻に出た零戦は、次々と敵艦の砲撃の餌食になっていきました。
そして1945年8月15日、日本は降伏し、戦争が終わりました。
軍事機密を隠すため、残っていた零戦は日本軍自らの手によって燃やされてしまいました。

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そして、零戦は歴史の闇に消えていったため、現在では現存する機体がほとんどありません。
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