世界中で開催されている「アドベンチャーレース」という人間の極限に挑む山岳レース。
そのアドベンチャーレースは日本でも行われています。
日本一過酷なレースといわれる「トランス・ジャパン・アルプス・レース」。
日本海富山湾からスタートし、北アルプス、中央アルプス、南アルプスの3000m級の山々を縦断、太平洋駿河湾まで8日以内で駆け抜けます。
415キロもの道のりを、着替えやテントを背負い、山小屋などで食料や水を確保しながら、自らの足だけでゴールを目指す過酷なレースです。
1日平均4時間を毎日自らのテントに泊まりながらレースを続けます。

©NHKエンタープライズ
優勝しても賞金があるわけでもないこのレースに命をかけて挑む人たちがいます。
「激走!日本アルプス大縦断」は、2012年大会に挑んだ28人を追ったNHKドキュメンタリー作品です。
どんな人たちが参加するのか
参加する28人の平均年齢は40歳、数々のレースで記録を残してきた強者ばかりです。
【厳しい選考基準】
- フルマラソン3時間20分以内
- 山岳レース コースタイムの55%以下
- 読図力
- 危険予測・回避力
スタートから北アルプスまで
8月12日午前0時スタートです。
第一関門の北アルプスでは、剣山→立山→薬師岳→槍ヶ岳、を越え関門の上高地までを3日後までに越えなければなりません。
最初の剣岳は、一般の登山者であれば9時間かかるところを、レース参加者たちは3時間ほどで越えていきます。

©NHKエンタープライズ
剣岳を越えて立山へ向かう稜線は、美しい景色が広がりますが、標高3000mの険しい世界です。

©NHKエンタープライズ
名峰槍ヶ岳が、北アルプス最大の試練の場です。
トップのランナーは2日目の午前2時に槍ヶ岳へたどりつきました。
今回のレースでは、トップより遅れれば遅れるほど風雨が強くなる過酷な状態でした。
とんでもない風雨で危険な状態です。

©NHKエンタープライズ
夜になると強風で体感温度は0℃を下回ります。
北アルプスエリアで4人の選手がリタイアとなりました。
中央アルプス
中央アルプスは、他のアルプスに比べ距離は短いですが、岩場が多く、過酷な道のりです。
上高地から70キロ道路を走り、木曽駒ケ岳へ登ります。
その後、檜尾岳→空木岳を経て下山、市野瀬の関門へ向かいます。
制限時間は5日目の午後5時までです。

©NHKエンタープライズ
中央アルプスも悪天候に見舞われ、ほとんど視界がない中を進んでいきます。

©NHKエンタープライズ
トップの選手は3日目の午後5時半に第2の関門の市野瀬へたどり着きます。
中央アルプスでは2人の選手が脱落し、残りは22人になりました。
南アルプス
南アルプスのルートは、市野瀬を出発し、長い尾根を渡り、仙丈ケ岳→塩見岳→三伏峠の関門にたどり着きます。
その後、荒川前岳→赤石岳→聖岳を経て最後の関門である畑薙へたどり着きます。
畑薙から駿河湾までは85キロの道路を進みます。
仙丈ケ岳は3033mもあります。
スタートから実に250キロの地点です。
5日目の朝にはトップの選手が最後の稜線を走っていました。
そして畑薙を通過して、まだ85キロという長い道のりが待っています。

©NHKエンタープライズ
意識も朦朧とする中、自分は何のために走っているのか自問自答しながら、それでも走り続けます。
そして、5日目の朝一、5日と6時間24分で、ディフェンディングチャンピオンの望月将悟選手が、トップを守り切り優勝します。

©NHKエンタープライズ
目標の5日以内という記録には届きませんでしたが、2位の阪田啓一郎選手を12時間引き離す驚異的な走りで優勝しました。
そして、出場者28人中、完走者18人。
日本一過酷なレースが幕を閉じました。
スポーツの感動DVDの記事
ジャイアンツ時代の松井の記録「松井秀喜 夢と感動をありがとう」
コメント