将棋の歴史上、最高の1戦といえば、2008年、羽生善治vs.渡辺明による第21期・竜王戦を挙げる人は多いのではないでしょうか。
「情熱大陸 羽生善治・渡辺明」は、その伝説の1戦を追いかけたDVDです。

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なぜ歴史的な戦いなのか?
100年に1度の大勝負とも言われるこの戦いは、勝った方が史上初の永世竜王の資格を獲得すものでした。
しかも、羽生善治が勝った場合、全タイトルで永世称号を得る「永世七冠」となります。
過去の二人の直接対戦の成績は羽生善治の6勝4敗でした。
第1戦
第1戦はフランスで行われました。
96手で羽生善治の勝利。
1戦目を終えた後、渡辺明は
「うまくいっているようで、全てを見透かされている感じ。ああいう読み筋で組み立てる人はなかなかいないんじゃないかな。流石というところを見せられましたね。」
と言っています。
第2戦
第2戦は北海道の洞爺湖で行われました。
午後4時から渡辺明が133分の長考に入り、封じ手となり、翌日に持ち越されます。

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翌日も羽生善治は崩れず、そのまま2戦目を勝利。
羽生善治は渡辺明について「非常に積極的に来られている感じですね。」と、短く語りました。
第3戦
3戦目は岩手県の平泉。
86手で羽生善治の完勝。

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勝利後、羽生善治は「(次も)基本的には同じ手で指すつもりです。」
と答えました。
渡辺明は、ホテルに泊まらずに、その日のうちに東京へと帰りました。
第4戦
第4戦は熊本。
会場へ向かう車の中で、渡辺明は「もう後がない。最後くらいは、いい将棋が指したいなと思いますね。」と言いました。

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羽生善治が優勢のまま終盤へもつれ込みます。
渡辺明の王将が羽生善治の陣地まで追い込まれ、しかも時間いっぱいで1分将棋となります。
投了も考えたという瞬間、渡辺明にひとつの閃きが浮かびます。
羽生善治の手が、数手先で打ち歩詰めとなってしまうことに気が付き、攻めに転じます。
世紀の大逆転で渡辺明が勝利します。
羽生善治が「終盤はよく分からなかったですね。」と答えるほどの難解な局面でした。
渡辺明も「今日は何で勝てたのか分からないですね。」と答えました。
第5戦
第5局は、渡辺明が攻めに攻めて勝利を手にします。
第6戦
そして、第6局は新潟南魚沼市での対戦です。

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そして、渡辺明が勢いのまま勝利しました。
先に4勝を挙げたほうの勝ちという勝負で、前半3戦で3連勝した羽生善治でしたが、続く3戦で3連敗し、3勝3敗で最終戦までもつれ込むという世紀の戦いとなりました。
第7戦
第7戦、決戦の地は山形です。
渡辺明が96手目、羽生善治が103手目で1分将棋になります。

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結果は、3連勝の勢いそのままに、渡辺明が最終戦を勝ち、見事永世竜王に輝きました。
2008年12月18日、将棋界の歴史に永遠に残り続ける戦いが幕を下ろしました。

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渡辺明は、勝利直後「信じられないですね。終わったときは本当、夢じゃないかなと。」と語りました。
竜王戦最終戦3日後のインタビューで羽生善治は「詰めの所が問題だったのかな。完璧というのは本当にハードルが高い。答えが出ないときに何をするか、というのに一番悩んでいます。」と、語りました。
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