月のうさぎの模様は何?日本の月周回衛星「かぐや」が撮影した映像

月と地球 ドキュメンタリー
©NHKエンタープライズ

2007年9月、月周回衛星「かぐや」が打ち上げられて以来、月のたくさんの謎を解明してきました。

月と地球

©NHKエンタープライズ

 

参考資料「NHKスペシャル 月と地球 46億年の物語 ~探査機かぐや 最新報告~」

月のうさぎの模様の謎

月と地球の距離は38万キロメートル。

広い宇宙の中では、とても近い距離です。

かぐや

月を見上げて、表面が黒くなっている部分は地下から吹き出した溶岩の跡です。

月に見えるうさぎの模様はこの溶岩の跡です。

月の裏側には黒い跡はなく、きれいな状態です。

なぜ地球に向いている側だけに溶岩の跡があるのかは、、長年の間、謎とされてきました。

かぐやによる月の内部調査で謎が解けた

かぐやによる調査で、月の表側は重力が強く、裏側には重力が弱い場所があるということが分かりました。

かつて月は、もっと地球に近い距離を回っていたため、地球の引力で引っ張られてたまご型をしていました。

次第に月と地球の距離が離れていくにつれて月の形が円形になっていきました。

月の形が変わるほどの変化だったため、月の内部の岩がドロドロの溶岩になっていきました。

その溶岩が地球の引力で引っ張られている側だけに噴出したため、月の模様は地球側だけにできたのです。

月のクレーターは衝突当時のままの姿

地球にも月のようなクレーターがありますが、雨などにより浸食されるため、形が変わってしまいます。

しかし、月はクレーターがそのまま残るため、天体がぶつかった際の情報がそのまま残されています。

ティコクレーター

©NHKエンタープライズ

月にある巨大なティコクレーターは、1億年前に直径8キロの天体がぶつかってできたものです。

20兆トンの火薬が爆発するほどの衝撃でした。

岩や砂が2000キロ先まで吹き飛ばされました。

穴の底が、衝突の反動でゆっくりと盛り上がりはじめ、クレーターの底に大きな山を作りました。

月のクレーターから、地球に惑星がぶつかったらどうなるのか、その衝撃を計算することができるようになりました。

月はどうやってできたのか

46億年前、原始の地球に巨大な星が衝突しました。

通称ジャイアント・インパクトと呼ばれるこの衝突で、地球に存在した水は全て蒸発してしまいました。

その飛び散った地球の破片が少しずつ集まって月が出来上がりました。

なぜ地球には水が残ったのか

ジャイアント・インパクトで月が誕生したたとき、水分は全て蒸発し、月には最初から水は存在していなかったと考えられていました。

1972年、アポロ17号の月面着陸の際に、月から岩石を採取してきました。

2008年、この岩石・オレンジソイルを調べていた科学者が、中にごく微量の水が含まれていることを発見しました。

オレンジソイル

©NHKエンタープライズ

これにより、月には最初、水があったことが確認されました。

そこから導き出された仮説が次のようなものです。

ジャイアント・インパクトによって一気に蒸発した地球上の水は、雲になって宇宙を漂っていたのです。

月も地球も、この雲から水を吸収しましたが、重力の弱い地球は雲を留めることができませんでした。

月には地球の6分の1しか重力がありません。

重力の強い地球は雲を留めることができ、水のある星となることができました。

地球に生命が誕生した理由

月にできたクレーターを調べると40億年前に集中していることが分かりました。

これは、木星が動いたことによって、木星の周りをまわっていた小惑星が月と地球に大量に降り注いだことが原因です。

この降り注いだ小惑星が衝突の際に起こした膨大なエネルギーが、元々地球に存在していた炭素やアンモニアなどの物質を結び付け、生命の源であるアミノ酸が出来上がったと考えられています。

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