岐阜県岐阜市にあるなんの変哲もない中華料理店「開花亭」。
そこには、世界中の美食家たちが集まります。
坦々麺を食べるサラリーマンの隣で、世界の美食家が、コース料理を食べるという不思議な光景です。
世界中の人々が注目する独創的な料理を作るのが、その店を経営する古田等(ふるたひとし)です。

©NHKエンタープライズ
古田の料理は何が違うのか
古田等の料理は、中華料理の枠にとらわれない、その独創性が人気の秘密です。
中華料理では柔らかく煮込むことが常識だったフカヒレを、あえてステーキのように焼くことで、コリコリとした食感を残しました。

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アワビにクリームソースを使うことで、フランス料理のような味に仕上げました。
古田等が大事にしているのは、基本の料理を超えることです。
鮎の塩焼きを超えるために、春巻きを作りました。
鮎の塩焼きは肝のほろ苦さと、サクサク感が魅力です。
それをより強調するために、肝を中に包み、サッと揚げることで、より味を引き立たせました。
古田等の料理の根幹
古田等の料理の根幹をなすのが、シャンタン(上湯)というスープ(出汁)です。

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岐阜の山奥に自ら最高の水を汲みに行きます。
材料は、鶏肉と金華ハムのみです。
その日の気候に合わせて量を微調整します。
異色の経歴
古田等は、小さな頃から母親の作る地元の食材を使った手料理が大好きで、小学生の頃から料理人になることを夢見ていました。
高校3年生のとき、母がガンを患い亡くなりました。
気落ちした父を残してはいけないと、都会に出て修行するのを諦め、地元岐阜の調理師学校に進学後、地元の中華料理店に就職しました。
22歳のときに勤めていた店が閉店し、借金をして岐阜に小さなお店を開きました。
500円の弁当を作って、配達に駆けずり回りました。
9年後、何とか借金を返し終えた古田等は、31歳でオリジナル料理を作る開花亭をオープンしました。
都会での修行経験がなく、ずっと無名の存在でした。
それでも毎日毎日、新しい料理を作るため研究し続けました。
しかし、古田等の作る、これまでにない中華料理は次第に評判を集め、いつしか名店と呼ばれるまでになっていました。
店を開いて17年目、関西で有名な料理評論家、門上武司が訪れました。
その料理に衝撃を受けた門上武司は周りの料理好きたちに、開花亭を紹介し、その名前は一気に全国に広まっていきました。
古田等の言葉
「自分の思いでいろいろ工夫して、新しいふうにして出しても、よくひもとくと、もともとあった基本の料理のほうがおいしいじゃないかいっていう料理がいっぱいあるんだね。」
「どんな職業でも、やはり自分の目標、イコール楽しみながらやる夢を持って、それを実現していくってことがプロフェッショナルかなと思います。」
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