日本料理における日本一の料理人、龍吟の山本征治

プロフェッショナル 山本征治 ドキュメンタリー
©NHKエンタープライズ

スペイン・マドリードで毎年行われている料理の学会と言われるマドリード・フュージョンという会議があります。

3つ星料理人の中でも選ばれた者しか参加できない大会に一人の日本人が参加して一躍脚光を浴びました。

ミシュランで3つ星を取り続け、世界のベストレストラン50で日本料理の最高位を獲得し続けている日本料理店「龍吟」の料理人、山本征治(やまもとせいじ)です。

yamamoto

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明け方まで厨房にたち、わずかに睡眠をとった後、昼過ぎには店に戻ってきて料理の研究を続けます。

山本征治の生い立ち

1970年に香川県で生まれた山本征治は、母の料理の姿を見て料理人になりたいと思うようになりました。

中学を卒業すると親の反対を押し切り、修行に行きました。

日本でも屈指と呼ばれる徳島県の料亭で日本料理の神髄を極めたいと料理に明け暮れました。

まもなく包丁使いの天才と呼ばれるようになりました。

独立と挫折

33歳で独立し、半年後にチャンスが訪れました。

それがマドリード・フュージョンです。

そこで発表した料理の手法は日本料理の伝統的なものでした。

「あなた独自のものではないのか」と言われがっかりされました。

店の2階に実験室を作り、料理の原理を基礎から学びなおしました。

しかし、斬新な料理を作ると、客は逆に満足しなくなりました。

「もっと普通の日本料理が食べたい」と言われました。

そんな折、初めてミシュランTOKYOが発表され、かつての同僚たちが3つ星に輝く中、2つ星となってしまいました。

店の常連たちも徐々に離れていきました。

それでも、自分が信じた道を突き進むしかない、と日本料理の進化を求め続けました。

その結果、ミシュラン2012で3つ星を獲得しました。

マドリード・フュージョンへリベンジ

ミシュランの3つ星を獲得した山本征治は、マドリード・フュージョン2012に挑戦することにしました。

アカムツを使って、その全てを味わう無駄のない調理法を探します。

目指すのは骨も身も全て食べられる究極の魚料理です。

鱗をどう使うのかが問題になりました。

細かくつぶして、揚げ物の衣として使うことを考え出します。

骨は、炭火で焼き、骨せんべいにしました。

その骨せんべいを切り身の中に戻して、まるで元から全てを食べられるような魚が存在していたような表現を編み出します。

 

アカムツ料理

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この究極の料理で発表に挑んだ山本征治。

40分の発表を終えた後、会場からは拍手が鳴りやみませんでした。

山本征治の言葉

「自分が一番好きなことをしているのが、これ(料理)なので、ストレスはゼロもないですね。マイナス5くらいじゃないですか。足りてないくらいです。」

「日本料理はもう既に完成されているものだというふうに自分が認めちゃうと、先人たちのやることを追いかけるだけになるわけですよね。」

「オリジナルを考えた人は本当にすごい人なんですよ。やっぱり。でもそこを求めるんではなくて、そのオリジナルを考えた人がもし今生きていたら、同じことをするかな、と思うんですよ。今しかできないことをその人はするはずなんです。」

プロフェッショナルとは?という質問には次のように答えました。

「何事も覚悟なんですよね。自分自身の出した結果でしたか、自分自身を語ることはできないし、自分自身が出した結果だけでしか人に語ってもらうことができない。そういう世界で生きていくっていう覚悟を決めた人のことだと、僕は思います。」

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