街中に所狭しと並ぶ自動販売機は、日本独特の風景です。
海外では、自動販売機を置いておくと壊されて中のお金や商品を盗られてしまうため設置できない場所が多く、そこら中に自動販売機が並んでいる風景は日本ならではと言えます。

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参考資料:ノッポさんと行く昭和のスキマ探訪 自動販売機編
自動販売機は2000年前からあった!
自動販売機の起源は、紀元前215年頃の古代ギリシャにまでさかのぼります。
テルマエ・ロマエで有名になりましたが、古代ギリシャでは現在の日本ののように銭湯文化が栄えていました。
古代ギリシャでは銭湯に入る前に聖水で体を清めなければいけないとされていました。
そこで、開発されたのが「聖水自動販売機」です。

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コインを入れると、中のおもりが動き、水が自動で流れる仕組みです。
現存する最古の自動販売機
そこから大きく時代が進み、17世紀初頭にイギリスでタバコの自動販売機が作られていたことが分かっています。

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これが現存する最古の自動販売機と言われています。
硬貨を入れると、その勢いで留め金が外れてタバコが取り出せるようになっています。
電気はなく、まだカラクリで動く自動販売機です。
現代の自動販売機の元祖
19世紀後半になると、葉書と便せんの自動販売機が登場します。

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これが現代の日本の自動販売機の元となったと言われています。
日本でも明治時代末期に「自動郵便切手葉書売下機」が登場します。

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明治37年(1904年)に発明家、俵屋高七(たわらやたかしち)が発明したもので、現存する日本最古の自動販売機になります。
右側が切手、左側が葉書を販売する部分で、下部にはポストも付いています。
きちんと、つり銭も出る精巧な仕組みになっていました。
庶民に浸透した自動販売機
1950年代になると、ジュース販売機が登場します。

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噴水型ジュース販売機はそこら中に置かれたため、当時を知る人にとっては懐かしい物となっています。
不思議な自動販売機が次々登場
そして、1970年代になると爆発的な自動販売機ブームが起こり、ありとあらゆる物が自動販売機で売られるようになります。
トースト自動販売機

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太平洋工業社から発売されたトースト自動販売機は、中の冷蔵庫にパンが入っていて、購入ボタンが押されると280度の高温で温められます。
専用のアルミでなければ、ちょうどよい焦げ目ができず、現在アルミの生産が終了してしまっているため、稼働している機械がどんどん減っている貴重な自動販売機です。
うどんそば自動販売機

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富士電機冷機製のうどんそば自動販売機は、わずか25秒で出来立てのうどんが出てきます。
中で高速回転して湯切りを行うため、その時々の運によって具材がきれいに入っているかどうか変わってきます。
かき氷自動販売機

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ホシザキ電気製のかき氷自動販売機は、3種類のシロップから選べるようになっています。
前の人が買ったシロップの色が入ってしまうことがよくあるという欠点がありました。
また、氷の出る量の調整が難しく、壊れやすいのも特徴でした。
その後、食品衛生法の規制やコンビニの発展などにより、変わり種の自動販売機は少しずつ姿を消していき、現代の「ホット&コールド方式」と呼ばれる飲料水の自動販売機が置かれるようになりました。
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